イスラム国の戦略
―― ハイジャックされたアルカイダの
イスラム国家構想
2014年10月号
イスラム国家の樹立構想を考案したのは、現実にイラク・イスラム国の樹立を表明した「イラクのアルカイダ(AQI)」ではなく、アルカイダのアイマン・ザワヒリだった。ザルカウィが死亡した後にAQIの指導者となったアブ・アイユーブ・マスリはAQIを解体し、現在のイスラム国の指導者とされるアブ・オマル・バグダディを「信仰指導者(アミール・ウル・モミニン)」として仰ぎ、その忠誠を誓った。・・・2013年、イスラム国はシリアとイラクの双方で権力を確立したと表明する。ザワヒリはイスラム国に対して、「主張を取り下げて、シリアを去り、イラクに帰るように」と求めたが、イスラム国の指導者はこれを相手にしなかった。・・・イスラム国家を樹立するというザワヒリの強烈なアイディアは彼の手を離れて自律的な流れを作り出し、アルカイダを解体へと向かわせ、いまやイスラム国がグローバルなジハード主義の指導組織の地位を奪いつつある。