中国債務危機のグローバルな衝撃
―― 「政治的」サプライサイド改革の限界
2017年8月号
中国企業の債務レベルは、対国内総生産(GDP)比170%と、歴史的そして世界的にみても、危険水域に突入しつつある。危機を回避しようと北京は中国流サプライサイド改革、つまり、生産制限と(極端に安い融資を通じた)需要管理策を組み合わせたポリシーミックスをとっている。たしかに、このやり方で債務に苦しむ企業も一時的な収益増を期待できるが、工場渡し価格の上昇によっていずれ消費者はインフレに直面する。同時に、衰退する国有企業を対象とする救済策は、必要とされる産業システムの再編を先送りし、しかも最終的にはより深刻度を増した債務問題に直面することになり、その余波は世界に及ぶだろう。北京が危機の先送り策をとっているのは、国有企業が倒産すれば、金融も政治も社会も不安定化することを恐れているからだが、債務の肥大化を放置すれば、共産党の支配体制だけでなく、世界経済を大きな危険にさらすことになる。