トランプ政権と政府機関の対立
―― 政府機関による逆襲
2017年9月号
トランプ大統領と側近たちは、「政府内部の後方撹乱者たちによる裏切り」と彼らがみなす行動に憤慨し、政治学の専門用語を借用して、「自分たちは国家内国家の(クーデターの)犠牲にされている」と主張している。だが「国家内国家」という表現でアメリカの政府機関を表現するのは的外れだろう。問題は、自分が率いているはずの政府機関の多くをトランプがあからさまに軽視し、予算に大ナタを振るい、規制ルールを廃止し、通常の手続きを踏むことを拒絶していることにある。このやり方が、官僚たちによるクリエーティブな反乱を誘発し、これが次第に効果をもちつつある。トランプ政権とメディアとの問題が「フェイクニュース」ではなく「ニュース」によって引き起こされているように、政権が政府機関との間で抱える問題は、非民主的で水面下で悪事を働く「国家内国家」ではなく、米連邦政府を形作る大規模かつ複雑な官僚制度とその手続きによって作り出されている。