イスラム国後のイラク
――解放地域をめぐる攻防とイラク軍
2017年9月号
イスラム国勢力の支配から解放されたイラク地域で台頭している集団が二つある。イスラム国勢力に対抗するために2014年に組織され、約30のシーア派武装組織を傘下に収める人民動員隊、そしてクルディスタン民主党だ。意外にも、この二つの集団は、自らの武装集団に戦闘員をリクルートしようと民族・宗派ラインを越えた動きをみせている。支配地域を維持・拡大していくには、シーア派やクルド人からのリクルートだけでは限界があり、民族・宗派を越えたリクルートを進めるしかないからだ。この二つの勢力が台頭するなかで、選挙が実施されれば、イラクの代議政治はさらにバランスを欠いたものへ変化していく恐れがある。希望は、民族・宗派を問わず、イラク軍への参加を考える若者たちが増えていることだ。・・・