ベネズエラのマドゥロ大統領は権威主義体制をさらに強化し、いまやこの国の民主体制そのものが脅かされている。2017年には、最高裁が、野党が支配する国会の権限を奪い取ろうと試みた。その後、マドゥロは憲法改正を実現するための制憲議会招集のために、その是非を国民投票で問うと表明した。だが、その投票結果は改ざんされていたようだ。いまや数万のベネズエラ市民が、近隣のブラジルやコロンビアへと難を逃れるような危機的な社会状況にある。軍や警察内部の反政府派が、政府に対するクーデターへと向かっていることを示す兆候もある。地域内での緊張状態を自ら解決してきた経験を豊富に持つラテンアメリカにとって、いまや地域内の問題にラテンアメリカ流の解決策を用いるべきタイミングではないか。そうしないことの帰結は、ラテンアメリカにとって非常に大きなものになる。