カタルーニャ危機とマドリードの誤算
――スペイン政府の正統性危機
2017年11月号
カタルーニャ独立の是非を問う、住民投票当日、(中央政府が派遣した警察との衝突で)900人近くが負傷する事態となった。ラホイ首相は、これを「スペインの民主主義を守るためのリベラルな行動」として正当化したが、彼は合意にもとづく平和ではなく、圧倒的な警察力によるプレゼンスで平和を手に入れようとしている。このために、スペイン政府の正統性そのものが失墜し、それまで独立には関心のなかったカタルーニャ市民、そして国際社会でこの問題を見守るますます多くの人々が、普遍的な支持など集めていたわけではなかった独立運動の立場をカタルーニャの声として受け止めだしている。いまや問われているのはカタルーニャの独立だけではない。スペイン政府の政治的正統性そのものが問われている。