消し去られた中国共産党の歴史
―― 共産党は歴史をいかに抹殺したか
2018年1月号
毛沢東時代の中国共産党はさまざまな社会層を対立させただけでなく、残忍な大衆運動が作り出す波状的なうねりのなかで、考えられぬ規模の人々が殺されるか、破滅へと追い込まれた。民衆に想像を絶する苦しみと死をもたらしたにもかかわらず、党がその過ちを公的に認めたことはない。現在の中国は、比較的安定した時代にある。中国は過去を清算して、その傷を癒やし、次の段階に進む道を見つけたと考える人もいるかもしれない。だが、実態はそのイメージからはかけ離れている。共産党は「過去をなかったことにしよう」と試みている。少しでも過去の不徳を認めるのは、党の正統性と一党独裁の権限を傷つける恐れがあるからだ。中国共産党が権力の座にあるかぎり、過去への反省が表明されることは決してないだろう。だが、その帰結を考える必要がある。