テクノロジー・ワールド
―― 地政学革命としての人工知能
2018年7月号
産業革命は世界を変えたが、機械が人間の筋肉の代役を果たすようになっただけで、人の頭脳が依然として必要とされたために、高賃金雇用が数多く創出された。しかしデジタル革命を担うのは、人間の頭脳を代替する人工知能(AI)だ。本質的に、人間レベルのAIは人間ができることすべてをより巧みに遂行できる。おそらくロボットはすべての仕事の4分の1(25%)以上を担うことになると考えられている。しかも、真に開花するまでに100年以上を要した産業革命とは違って、デジタル革命による雇用喪失はわずか数十年で加速していく。これに比べれば、中国の台頭などの21世紀の地政学的動向は、あと20年もすれば、どれも、取るに足らぬ問題にすぎなくなる。どの国が世界最高のAIを保有しているかですべては決まるし、政府形態も流動化していく。