流れは米中二極体制へ
―― 不安定な平和の時代
2019年1月号
いまや問うべきは、米中二極体制の時代がやってくるのかどうかではなく、それがどのようなものになるかだ。米中二極体制によって、終末戦争の瀬戸際の世界が出現するわけではない。自由貿易を前提とするリベラルな経済秩序を重視しているだけに、今後の中国の外交政策は、積極性や攻撃性ではなく、慎重さを重視するようになるだろう。ほとんどの諸国は、問題ごとに米中どちらの超大国の側につくかを決める2トラックの外交政策を展開するようになり、これまでの多国間主義は終わりを迎える。欧米におけるナショナリスティクなポピュリズムと中国の国家主権へのこだわりが重なり合う環境では、リベラルな国際主義のシンボルだった政治的統合やグローバル統治の余地はほとんどなくなっていくはずだ。・・・