ビジネスエリートの地政学
―― 企業と外交政策
2024年4月号
政府が地政学的目的を達成するために輸出規制や産業政策へ傾斜していくにつれて、企業は外交政策の目的であると同時にそのための手段とされつつある。だが、企業の利益が、米政府が考える利益と常に同期するわけではなく、しかも、企業が政府以上に多くの情報をもっていることも多い。アメリカの国益を調整し、保護するというワシントンの最終的役割を考えれば、政策決定者は(企業の協力を必要とする)この新しいパラダイムに適応していく必要がある。民間企業との協議を制度化し、産業界の専門知識に資金を提供し、経済情報を充実させることは、よいスタートになる。政策立案者は民間セクターについて、これまでとは根本的に異なる捉え方をする必要がある。