民主主義を救うには
―― 歪んだ米経済システムの是正と外交の再生を
2019年2月号
ワシントンはこの数十年で一握りのエリートにだけ恩恵をもたらす政策をとるようになった。これを批判し「アメリカ・ファースト」を掲げたトランプの政策も、実際には「トランプファミリーファースト」で、中間層には最低限の配慮しかしていない。一方、中国では、習近平国家主席が権力基盤を固めて「偉大なる復興」を語り、国有企業が共産党幹部に巨万の富を与えている。ロシアのプーチン大統領のパワーも、彼に友好的なオリガークが運営する国営企業との複雑な関係によって支えられている。しかも、これがモデル化されて、トルコやハンガリーを含む各国へと拡散している。このままでは、アメリカを含む、民主社会も、政治腐敗と泥棒政治への道を歩み、民主主義とは名ばかりの国に転落していく恐れがある。流れを覆すには、一握りのエリートだけでなく、すべてのアメリカ人に恩恵をもたらす政策と外交が必要になる。