温暖化が人体を脅かす
―― 高温多湿化した地球と感染症の脅威
2019年11月号
気候変動が引き起こす環境面での広範な悪影響については長く議論されてきた。しかし、温暖化の人体への悪影響が予想以上に深刻で、すでに問題として具体化していることをもっと強く認識すべきだ。大気汚染によって、呼吸器系、循環器系の疾患を人が抱え込むことは広く知られているし、より直接的な熱波も人を死に追いやる。2019年の熱波によって、フランスだけでも1435人が命を落としている。さらに、気温上昇によって、デング熱、黄熱ウイルス、ジカウイルス、西ナイルウイルスその他を媒介するヤブ蚊などの、媒介動物の生息地域が拡大している。気候変動は慢性疾患や感染症を悪化させるだけでなく、食料と飲料水資源の不足をさらに深刻にし、パンデミックのリスクも高めてしまう。