欧州連合の未来
―― ヨーロッパの理念に何が起きたのか
2020年2月号
欧州連合に対する批判は「ブリュッセルはもっと活動を縮小しろ、いや、もっと拡大しろ」という二つの批判に大別できる。ともに、EUは国民国家に取って代わろうとしているとみなし、前者はそれに反対し、後者はそれに賛成している。反対派には、イギリスのEU離脱(ブレグジット)派や右派ポピュリストを支える欧州懐疑派、そしてフランス、ハンガリー、イタリア、ポーランドのナショナリスト同盟などが含まれる。これら統合反対派は、われわれは「国民国家を守る」と主張する。「もっと拡大しろ」と考える左派は、右派ほど注目されていないが、ヨーロッパ全体、特にブリュッセルでは右派よりも多数派だ。問題は左派の立場があまりに理念的、夢想的でリアリズムに欠けることだ。・・・