最悪の事態に備えるべき理由
―― 新型コロナウイルスにどう対処するか
2020年3月号
![](https://www.foreignaffairsj.co.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/shutterstock_1626528310-260x173.jpg)
ウイルスが人類社会に与える衝撃の規模は、その感染力がどの程度で、感染した人の致死率がどの程度になるかに左右されるが、これらを的確に判断できる状況にはない。封じこめがうまくいかず、グローバルなアウトブレイク(パンデミック)になる可能性もある。これまでのところ、中国の管理措置ではウイルスを抑え込めていないようだし、ウイルスはいずれ変異し、致死率と拡散能力を変化させていく。効果的なワクチンがあれば、感染ペースを鈍化させ、感染症のインパクトを大幅に緩和できるようになるが、ワクチン開発にはかなり時間がかかる。政府と公衆衛生当局は、分かっていることと分かっていないことを区別し、正確に情報を伝え、良い知らせであれ、悪い知らせであれ、情報提供を控えてはならない。各国政府は、新型ウイルスを封じ込められず、深刻で致死性の高い感染症として世界で猛威を振るうかもしれないリスクを認識し、最悪の事態に備えた行動をとる必要がある。