パスポート売買ビジネス
―― 市民権、国籍の値段と意味合い
2024年2月号
![](https://www.foreignaffairsj.co.jp/cms/wp-content/uploads/2024/01/shutterstock_1911595108-260x186.jpg)
投資による市民権獲得、つまり、外国人に政府公認のパスポートを合法的に販売する産業が急成長している。国内総生産(GDP)を押し上げる、このビジネスは、観光産業を後押しし、国の借金を減らし、天災後の復興、学校や年金制度の維持を助けている。いまや、パスポート売買は制度化され、例えば、セントクリストファー・ネービスの場合、そのGDPの約40%は国内の不動産を購入し、政府の開発基金に現金を寄付した「投資家市民」によってもたらされている。グレナダの「投資による市民権取得制度」の利用者の9割がロシア国籍保有者なのは、この島国の市民権でプーチン主義から逃れることができるからだ。しかし、このビジネスをわれわれはどうとらえるべきなのか。パスポート売買には複雑な倫理が絡んでくる。・・・。