シリア化するミャンマー
―― 東アジアにおける破綻国家の誕生か
2021年6月号
軍隊と民衆間の分裂を修復するのはもはや不可能だと多くの人はみている。現在の残虐行為を前に、多数派であるビルマ族も、ミャンマー軍が何十年にもわたって国内の少数民族を対象に暴力と不正を繰り返してきたことの意味合いについて覚醒しつつある。こうしてもたらされる民族間の連帯が、永続的な平和と和解の基盤を提供できるかもしれず、これをベースにより力強い民族間対話の枠組みを立ち上げるべきだろう。中国、インド、タイ、その他の周辺諸国は、移民や難民の受け入れを求める圧力にさらされ、ミャンマーとの国境地帯が無法化し、暴力と絶望が社会に蔓延する事態に備えざるを得なくなるだろう。ミャンマーが経験しているのはいつもながらの民主主義からの後退ではない。いまやアジアの重要地域で破綻国家がゆっくりと誕生しつつある。