アメリカの少子高齢化の意味合い
―― EU、中ロ、日本との比較
2021年8月号
![](https://www.foreignaffairsj.co.jp/cms/wp-content/uploads/2021/07/shutterstock_1251637768-260x173.jpg)
日本やヨーロッパそして中ロ同様に、アメリカも人口成長率の鈍化と出生率の着実な低下という厳しい現実に直面している。出生率の低下は将来に対する人々の自信も低下させるだけに懸念すべき事態だ。だが、こうした人口動態の変化から、アメリカの国際的地位の低下を直ちに心配する必要はない。アメリカの出生率が人口置換水準を維持できた最後の年は2008年だが、日本とEU諸国は1970年代に、中国とロシアは90年代初頭にすでに出生率が人口置換水準以下に落ち込んでいる。さらに、10年以上前からアメリカでも出生数と死亡数のギャップが縮まり続けているが、EU諸国は2012年頃から、日本では2007年以降、出生数よりも死亡数の方が多い状態が続いている。アメリカは今後数十年にわたって、相対的にはライバル諸国に対する人口動態上の優位を維持していくだろう。