プーチンの歴史との闘い
―― ウクライナをめぐる葛藤
2022年7月号
国家の地位を勝ち取ったのは31年前だとしても、ウクライナには何世紀にもわたる豊かな歴史がある。「あまりにも弱く、あまりにも分断しているため、ウクライナはひとり立ちできない」という主張も、戦場で見事に打ち砕かれている。ネオナチだという侮辱が言いがかりであることは、ゼレンスキー大統領がユダヤ系であることで立証されている。プーチンが語る架空のウクライナと、現実のウクライナのギャップが大きくなるにつれて、その嘘を維持するのは難しくなり、その矛盾はひどく深刻になっている。ウクライナの親ロシア派市民の声が聞こえてこないのは、「地下に追いやられ」「その信念のために迫害され」、場合によっては「殺されて」いるからだとプーチンは言う。だが、歴史が手がかりになるのは、それが本物の歴史の場合だけであることを、今頃プーチンは学んでいるのかもしれない。・・・