アジアのエネルギー問題をどう解決するか
1998年5月号
今後、アジア経済が再び高成長路線へ転じる可能性は高く、石油を中心とするエネルギー需要もさらに高まってくるはずだ。これを背景に、アジア諸国間で緊張、資源競争が生じ、紛争が起きることを予見する専門家もいる。だが、国家が自国経済の舵取りを一手に管理しようと試みた時代から、市場力学、商業化、規制緩和、民営化が世界の経済思考を司る時代への移行が進んでいることを忘れてはならない。膨大なコストを要する資源開発インフラを整備するには、国際金融市場からの資金調達や、先端技術をもつ諸国との協調が不可欠である。エネルギー問題だけでなく、アジア経済の回復がどれだけすすむかを占うキーワードはここでも「市場、規制緩和、民営化」である。