ユーラシアの地政学と日米中を考える
1997年11月号
世界の人口の75パーセント、GNPの60パーセント、エネルギー資源の75パーセントが存在するユーラシア大陸は21世紀の安定の鍵を握る「スーパー・コンチネント」だ。ユーラシアにおけるアメリカの差し迫った課題は、「いかなる単独の国家、あるいは国家連合も、アメリカを放逐したり、その役割を周辺化させたりするような力をもてないようにすることだ。この点でとりわけ重要なのが、NATO、そして、アメリカと中国の関係であり、これを軸に、ロシア、中央アジア、日本との安定的共存を図っていかなければならない。NATO拡大とロシアの関係同様に、アメリカ、日本、中国の戦略関係にも細心の配慮が必要になる。肝に銘じておくべきは「再軍備路線への傾斜であれ、単独での対中共存路線であれ、日本が方向性を誤った場合には、安定した米日中の3国間アレンジメント形成の可能性はついえ去り、アジア・太平洋地域でのアメリカの役割は終わる」ということだ。