トランスガバメンタリズム
1997年12月号
![](https://www.foreignaffairsj.co.jp/cms/wp-content/uploads/1997/12/shutterstock_573041965-260x146.jpg)
情報革命とグローバル経済の進展によって、いまや一国では対処できないテロリズム、組織犯罪、環境悪化、マネーロンダリング、金融問題がわれわれの目の前にある。現状を前に、国際主義者は多国間機構の強化を唱え、一方保守派はそれは主権の喪失につながると反対する。だが、各国の司法、立法、行政といった政府機関が、それぞれ独自に国家を越えた横断的なネットワークを形成すれば、共通の課題に取り組めるようになるはずである。この動きの好例がバーゼル委員会、そして証券監督者国際機構の設立といえよう。現下の国際問題はそのトランスナショナルな性格ゆえに、「各国の政府機構間の国境を越えたつながりを育み、その維持を必然としているのだ」。現実にもっともうまく対応できるのは、単独の国家でも、多国間機構でもなく、むしろ複数の国家の政府機構間の横断的なつながり、つまり「トランスガバメンタリズム」なのである。