日本モデルの限界と再生への道筋
1999年7月号
一般に考えられているのとは逆に、行政指導、産業政策に代表される日本の政府主導型モデルは、むしろ失敗を呼び込む処方箋のようなものであり、かつて称賛された日本企業の管理手法も危険なまでに不十分な代物にすぎない。成功を収めるために何よりも大切なのは「競争」である。日本政府は競争の強化を規制改革の目標に据えるべきだし、一方の企業も、ライバル企業を模倣するのではなく、相手と競争して生産性を向上させるという姿勢をもつべきだろう。そのためには、資本を効率的に利用して妥当な収益を上げることを求める圧力が必要である。当然、株主にはより大きな影響力が与えられるべきだし、役員の独立性を強化し、企業の決定や財務状況をより透明なものとし、コーポレートガバナンスを強化すべきである。さらに、独創的な考えやリスクを引き受ける姿勢を育んでいくためにも、間違いは罰しても成功には報いない日本のシステムを見直す必要もある。今こそ自分たちのアプローチの限界を深く理解したうえで、「自己再生をはかり、より洗練された競争へ」と自らを向かわせる時である。