真の温暖化防止には炭素税の導入しかない
1998年8月号
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地球温暖化という遠大な問題を、政府間の条約だけで防止しようとする試みには基本的に無理がある。条約は国境を超えた大まかな「責任分担」の手立てと、目的の達成に向けた国際的規律を与えるにすぎない。数億単位の世界市民がライフスタイルを根本的に変えない限り、変化は起きないはずだ。行動を起こさないわけにはいかないが、それでも気候の変化が人間にどのような影響を与えるかについての明確な科学的根拠がない状態で、世界規模での排出削減目標を国ごとに割り振る、京都会議(気候変動枠組み条約第三回締約国会議)での合意は、その実現を不可能とするほどに多くの議論を呼ぶ可能性が高く、客観性、公正さだけでなく、現実性に欠ける。温暖化防止という目的に関して国際的な合意があるのであれば、それを実現する互恵的で普遍的な「手段」を各国が共有することこそ大切であり、国際社会は化石燃料の使用に対するほぼ一律の炭素税課税のような、互いに合意できる行動を基盤にこの問題に取り組んでいくべきではないか。「税金は社会的に有用な活動よりも、有害な活動に課したほうが有益である」という真理のなかに問題の解決策があるはずだ。