ジョナサン・シェル論文によせて
核廃絶への政治的リーダーシップを
2001年1月号
![](https://www.foreignaffairsj.co.jp/cms/wp-content/uploads/2001/01/shutterstock_416812873-260x173.jpg)
冷戦期の核ドクトリンは、今となっては意図とは反対の結末しかもたらさない。すでに相互確証破壊に基づく抑止の時代は過ぎ去っており、むしろアメリカは「相互確証安全」という新概念を生みだす機会を手にしている。
「核廃絶か 止めどない核拡散か」(「フォーリン・アフェアーズ」、二〇〇〇年九/十月号、「論座」二〇〇〇年十月号)のなかで、ジョナサン・シェルは、いつもどおり歴史の流れを踏まえた知的な見解を示し、核保有国がともに核廃絶のための計画を立ち上げて、それを実行に移さない限り、国際社会の流れが核拡散へと向かいかねないと警鐘を鳴らした。ワシントンによる(核不拡散と抑止を抱き合わせた)戦略は、世界の核トレンドを拡散容認という方向へと向かわせかねない、と。さらに、シェルは、大統領が(核廃絶、あるいは核の削減についての)現状の政策の改革案を示さないかぎり、
核政策をめぐる世論を巻き込んだ広範な議論が実現したとしても、そうした機会が無為に費やされかねないと指摘した。ホワイトハウスが現行の戦略を見直し、官僚機構内の抵抗を克服するには、まず核の専門家たちが政府に、詳細を押さえた賢明な政策構想を示すべきだろう。