NATOのコソボ作戦を総括する
1999年12月号
北大西洋条約機構(NATO)は突然、コソボ空爆を開始したわけではない。空爆は、すべての外交的手段がうまく機能しないのを見届けたうえで実施された。一方、この作戦を実施すれば、民間人が犠牲になり、ロシアとの関係が悪化し、コソボへの長期的なコミットメントが必要になるかもしれないという「リスク」の存在も、NATOは当初から理解していた。だが、行動を起こさなければ、大西洋コミュニティーがセルビアによる民族浄化作戦を事実上容認することになるため、リスクを引き受けても行動を起こす価値があると判断した。そして、作戦は「成功」した。難民は故郷へと再入植し、国連の参加によってコソボの復興も進んでいる。「無関心を決め込むことの最終的コストのほうが、エンゲージメント(穏やかな関与)が必要とするコストよりも、はるかに高い」という教訓を、われわれは再び学んだのである。