国際法訴訟を裁く米裁判所の功罪
2000年10月号
国際法上の重大な侵犯行為を行った個人、企業、そしてテロ支援国家を相手取って、今やますます多くの個人が、国際法の下での自分たちの権利を守るためにアメリカで訴訟を起こすという手法に訴えつつあり、その外交的影響も大きくなってきている。こうした訴訟は、そうでもしない限りとくに関心の寄せられることもない問題が議論されるようになるという価値を持つが、一方で相手国の経済政策への干渉、「国家主権による免責特権」への抵触、司法判断の政治化のリスクも伴う。救済策は司法的にではなく、むしろ調停、あるいは外交をつうじて模索されるべきであり、民間訴訟の肯定的成果と危険との間のバランスをうまく管理していく必要がある。