1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

論文データベース(最新論文順)

ハイテク労働者は米国を目ざす
――インフレ予防に移民が果たす役

2000年8月号

ステファン・ゲッツ・リヒター  ザ・グローバリスト・コム社長

空前の経済ブームに沸くアメリカにとっての唯一の懸念はインフレである。理論的には、労働需要の高まりはインフレを誘発しかねないが、情報通信・ハイテク部門を中心に、インドなどからの技術専門職のアメリカへの移民が急増しており、彼らの存在は、ハイテク部門の成長だけでなく、労働市場の需給バランスを維持する安全弁の役割を果たしている。金利引き上げを回避しつつ、ハイテク部門の成長を維持する鍵を握っているのは、意外にも自由な人の流れなのだ。

自由貿易で途上国を支援せよ

2000年7月号

C・フォード・ランゲ ミネソタ大学応用経済学教授

世界の人々に食糧を行き渡らせることができるかどうかは、食糧を余った地域から足りない地域へ移動させる手段として、貿易をさらに開放的にし、うまく利用していくという国際社会の決意に左右される。労働団体、環境保護団体などの反自由貿易連合は、自分たちの保護主義的な思惑を覆い隠そうと、遺伝子組み換え作物という「怪物食品」の問題を巧みに利用している。世界の消費者が遺伝子組み換え作物か有機食品かを自由に選べるようにすれば、国産品と輸入品の差別的扱いを求める必然性はなくなり、保護貿易の動きも緩和される。

米国エコノミスト徹底討論
日米欧 経済危機のシナリオ

2000年7月号

ブルース・スタインバーグ メリルリンチ証券チーフ・エコノミスト

構造改革も道なかばの日本、労働市場の硬直化が成長を妨げるヨーロッパ、IT産業への過度の依存と中南米諸国の窮状がリスクとなるアメリカ。二〇〇〇年一月、ニューヨークに集まった著名エコノミストたちが、世界経済の未来を大胆に予測する。

ユーロ圏 財政危機の全貌

2000年7月号

ニオール・ファーガソン オックスフォード大学講師 ローレンス・J・コトリコフ ボストン大学経済学教授

ユーロ各国は深刻な財政問題を抱えている。税負担の世代間格差が、単一通貨ユーロの存続を大きく脅かしかねないのだ。しかも、財政改革を実行できる政府は今のところ見当たらない。

外交問題評議会ラウンドテーブル・リポート
米日中とアジア安全保障の将来 (後半)

2000年6,7月号

ニール・E・シルバー 前外交問題評議会客員研究員

中国人が日本に抱く否定的なイメージ、日本側の歴史認識をめぐる日中の政治学、日米同盟やTMD配備に対する中国側の姿勢などを検証し、アメリカの現実的な戦略的選択肢を検討したこのレポートは、アジア安保の「かなめ」としての日米関係の重要性を強調する。世界システムへの中国の統合、北朝鮮・台湾の問題、日本経済の衰退、アジアでの多国間主義の今後という五つの課題を踏まえ、アジア地域の安定と平和に向けた提言でレポートを締めくくっている。(前編はフォーリン・アフェアーズ日本語版6月号に掲載)

Classic Selection 2000
官僚と政治家が日本を滅ぼす?

2000年7月号

オーレリア・ジョージ・マルガン ニューサウスウェールズ大学政治学教授

日本の最大の強みは、国力を構成する軍事、経済、文化その他の要因を時代に即してうまく再定義してきたことにあり、小泉政権以降の日本政府は、アジアにおける主要なプレーヤーとしての地位を維持していこうと、新たな国力構成領域での強さを培いつつある。若手政治家たちは、日米同盟が両国にとってもっとうまく機能するようになることを願っており、より多くの役割を引き受け、その代わりにより多くを求めることについても躊躇しない。こうした状況にある以上、ワシントンが東京を犠牲にする形で北京との和解路線をとれば、東京は自主路線の度合いを高め、その結果、アジアの安全保障環境はますます不透明になる。ワシントンが中国との緊密な経済的絆に加えて、安定した戦略関係を築くことについて日本を過度に刺激しないようにするには、あくまでも東京との同盟関係を基盤に中国への関与策を進める必要がある。

経済改革が日本を変える?

2000年7月号

ダイアナ・ヘルウェッグ 外交問題評議会プロジェクト・ディレクター

日本企業の多くは、過剰な生産能力、未払い債務、無駄の多い労働力などによって追い込まれている。リストラクチャリングなしでは日本企業は崩壊するし、様子見を決め込めば退路はますます狭くなる。
資本コストの増大、低い収益率、グローバルな競争の高まり、情報革命という厳しい現実を前に、情報・技術産業を中心とする日本の多くの企業は、「ケイレツ」ではなく、収益を重視する方向への転換を図りつつある。
情報技術産業が主導する現在の改革路線を歩んでいけば、日本も技術革新が主導する二十一世紀型のグローバル化した経済国家へと変貌を遂げるだろう。

グローバルな金融市場統合へ
―― 欧米証券取引所の大改革

2000年6月号

ポール・アールマン 欧州証券取引所連合理事長 ブランドン・ベッカー ウィルマー・カトラー・アンド・ピカリングパートナー、米国証券取引委員会(SEC)市場規制局前局長

証券取引所における電子化と証券取引所の株式会社化という大潮流のなかで、欧米では証券取引所の大統合が起こっている。証券取引所という分野にもっとも鋭い見識を持つアールマン氏とベッカー氏の対談を通し、ヨーロッパとアメリカ双方の立場から、グローバルな金融市場の統合に向けた、法的規制の現状と課題、投資家保護の仕組みなどを明らかにする。

「グローバル経済に挑む国際労働運動」への反論

2000年6月号

ジャグディシュ・バグワティ コロンビア大学教授 トマス・ドナヒュー  前米労働総同盟産業別会議会長

ジェイ・マズアー米労働総同盟産業別会議会長は「グローバル経済に挑む国際労働運動」で、グローバリゼーションは一握りの人々に繁栄をもたらす一方で、多くの労働者を追い込んでおり、状況を是正するには労働者の権利を国際的な貿易合意に明文化するとともに、労働組合が国際的に連帯する必要があると呼び掛けた。だが、彼の言う「労働者」とは一体だれなのか、貿易合意への権利の明記は先進国による保護主義につながらないか、「国際労働運動」の本質は何か……グローバリゼーションをめぐる論争はさらに続く。

コンピューター戦争に備えるアメリカ

2000年6月号

ブルース・D・バーコウィッツ  ランド・コーポレーション上級コンサルタント

アメリカの防衛専門家は、敵が自分たちのコンピューター・ネットワークを攻撃する可能性を憂慮する一方で、敵のコンピューター・ネットワークに対する攻撃を検討している。敵の電子機器を麻痺させるために、軍はレーザーやマイクロ波を利用しているが、将来的には、エネルギー波を組み合わせることで、離れた場所から敵のコンピューター・ネットワークに直接データを送り込めるようになるだろう。特定の作戦行動に影響が出るような詳細まで明らかにしなくとも、コンピューター戦争に関する政策の大枠を公に議論することはできる。

Page Top