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論文データベース(最新論文順)

ゴア副大統領とアメリカの外交政策

2000年11月号

レオン・ファース  国家安全保障問題担当副大統領補佐官

――以下は、二〇〇〇年九月二十日にワシントンで行われたミーティング・プログラムにおけるレオン・ファース国家安全保障問題担当副大統領補佐官のスピーチ「外交政策への関与:ゴア副大統領とアメリカの外交政策」の議事録である。司会はリー・カラム(外交問題評議会役員・コラムニスト)。

二十一世紀のアメリカ国防の課題

2000年11月号

エリオット・A・コーエン  ジョンズ・ホプキンス大学教授

米軍の二十一世紀における課題は、米本土防衛、台頭する中国、「世界的警察活動」という諸問題にいかに対応するかである。最大の課題は、冷戦型の戦略や兵器調達慣行を脱し、水面下で進行している士気の低下に対抗するために、軍構造の改編、軍教育機関の充実など、新たな課題への新戦略を構築する知的・組織的基盤を再編することにある。アジアにおける「通常戦力の支配的な優位」を手にするには、中国の台湾侵攻というシナリオにも対応できる、主に空と海での広域展開能力を持つ戦力が必要であり、ヨーロッパやペルシャ湾など慣れ親しんだ地域での戦闘よりも、むしろ、太平洋における広域をカバーでき、複雑な基地確保の問題をクリアできるような戦力へと再編する必要がある。

グローバル時代の外交政策

2000年11月号

サミュエル・R・バーガー  米国家安全保障問題担当大統領補佐官

アメリカの圧倒的なパワー自体には何も問題はないが、相手に何かを強制する「パワー」と、他を導く能力である「権威」とのバランスをうまくとらなければ、世界の反発を買う危険がある。われわれが友人の怒りを買うような方法でパワーを行使し、自らのコミットメントを尊重せず、他を支えることに積極的でなければ、「権威」は失墜し、そのような環境ではパワーもそれほど大きな力とはなり得ない。パワーを強化しつつその権威を高めるような形で、よりよい世界に向けてリーダーシップを発揮することこそ新大統領の課題である。

サダム・フセイン政権存続の謎

2000年10月号

オフラ・ベンジオ テルアビブ大学中東研究所上席研究員

サダム・フセインが権力を維持しているのは、その無慈悲なキャラクターと、反対勢力の失策のためであり、さらにはバース党、治安機構、軍部、取り巻きの派閥というイラクにおける権力の支柱のすべてをきわめてうまく管理しているからだ。彼の二人の息子たちへの権力継承も視野に入りつつあるが、二人は父親同様に残忍な人物で、政権交代は地域的な安全の高まりを意味しない。軍の指導層が民間の啓蒙グループや亡命者集団と手を組めば状況は大きく進歩するのであり、このためにも欧米は、サダムを封じ込めつつもイラク民衆の窮状をやわらげる措置をとるべきである。

移民先進国アメリカの悩み

2000年10月号

ジェームズ・ゴールズボロ  サンディエゴ・ユニオン・トリビューン紙コラムニスト

今日の移民政策は、合法か不法かに関係なく、より多くの労働者を求める企業の必要性をもっぱら重視しており、もはや何の歯止めもない状態にある。経済が下り坂に向かえば、アメリカ全土が「カリフォルニアで起きた以上に大規模な」反移民感情にのみ込まれるかもしれない。もしアメリカが移民の受け入れをそのアイデンティティーの一部としているなら、今こそ不合理で管理不可能な移民がもたらす危険を強く認識しなければならない。

国際法訴訟を裁く米裁判所の功罪

2000年10月号

アン・マリー・スローター
ハーバード大学ロースクール教授

国際法上の重大な侵犯行為を行った個人、企業、そしてテロ支援国家を相手取って、今やますます多くの個人が、国際法の下での自分たちの権利を守るためにアメリカで訴訟を起こすという手法に訴えつつあり、その外交的影響も大きくなってきている。こうした訴訟は、そうでもしない限りとくに関心の寄せられることもない問題が議論されるようになるという価値を持つが、一方で相手国の経済政策への干渉、「国家主権による免責特権」への抵触、司法判断の政治化のリスクも伴う。救済策は司法的にではなく、むしろ調停、あるいは外交をつうじて模索されるべきであり、民間訴訟の肯定的成果と危険との間のバランスをうまく管理していく必要がある。

金融システムの進化と危機

2000年9月号

アラン・グリーンスパン  米連邦準備制度理事会(FRB)議長

公的な支援なしで民間市場が管理できる危機の規模には限界があるが、今後も可能な限り多くを市場プロセスに依存していくべきだ。金融危機に直面しても、そこに複数の金融取引メカニズムがあれば危機を緩和できる。銀行以外の資金調達手段を持つスウェーデンが不動産危機に素早い対応を見せたことと、ほぼ全面的に銀行融資に頼る日本が問題解決に苦慮していることとは対照的だ。ニューエコノミーという「付加機能」を備えつつ急速に進化する国際金融システムの中で、私たちは危険を承知でオールドエコノミーの節度を求める法則を踏みにじっている。

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