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論文データベース(最新論文順)

朝鮮半島政策への提言
――ブッシュ大統領への公開書簡

2001年5月号

モートン・I・アブラモウィッツ センチュリー財団上席研究員 / ジェームス・T・レイニー エモリー大学名誉学長

外交問題評議会の朝鮮半島問題に関するタスクフォースは、ブッシュ大統領に対して、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との和解を目指す韓国の努力を全面的に支援するように促す書簡を送った。この書簡においてタスクフォースは、北朝鮮の長距離ミサイル開発計画を検証可能な形で間違いなく解体する手段を模索し、一九九四年の平壌との核合意を注意深く見直すとともに、韓国との防衛協力を強化し、ソウルや東京との手堅い三国間調整を推進するように提言している。今回の提言は、朝鮮半島問題に関するタスクフォースがこの数年間で出した四度目の提言となる。タスクフォースには、朝鮮半島問題と東アジア政治をめぐるアメリカの著名な専門家が参加している。われわれは、韓国の金大中大統領や政府高官、そして日本政府の高官との折衝のために代表団を現地に派遣し、協議を重ねた上で、この書簡をまとめた。なお、タスクフォースは、朝鮮半島問題に関するより詳細なリポートを四月に公開する予定である。

米外交問題評議会ミーティング
キッシンジャーが読み解く新世界
――元大統領補佐官が語る新政権の課題

2001年5月号

リチャード・V・アレン、ロバート・C・マクファーレン  

アジアは外交的にはグローバル・システムの一部を形成しているが、戦略的には各国が互いに相手国を潜在的な敵対勢力と見なしていた十九世紀のヨーロッパと同じメカニズムでいまも動いている。だが、最大の問題は特定の一国がアジアを支配しようと試みることで、かつてそのような試みをした日本とアメリカは戦争をした。しかし、そのような試みが具体化していない現状では、中国を含むいかなる国も敵対国と見なすべきではない。(キッシンジャー)

知識革命の南北間格差を是正せよ

2001年4月号

アヴィナシュ・パサード ステート・ストリート銀行調査部長

グローバリゼーションはゼロサム・ゲームではなく、万人がそこから利益を引き出すことができる。問題は貧困諸国が、グローバリゼーションという機会の拡大をうまく利用するのに必要な知識や技術をもっておらず、制度が整っていないために、投資も呼び込めず、それを活かせずにいることだ。必要なのは、途上諸国側が投資を呼び込めるような制度を確立し、教育を充実させ、一方で先進諸国がこれまでのダブルスタンダードを改めることだ。先進国は自分達が圧倒的優位にある部門については自由貿易を主張し、一方で、貧しい国からの農産物輸入の関税引き下げをためらってきた。富裕国が今後知的所有権を盾に、このような態度をくずさなければ、発展途上国はグローバル経済に関わっていく気力をなくしてしまい、世界の平和と繁栄も脅かされかねない。

ネットワーク経済における新貿易政策
──知的所有権、電子商取引、電子通信産業の将来

2001年4月号

シャリーン・バーシェフスキ 前アメリカ通商代表部代表

関税、輸入割当などの貿易障壁の引き下げがアジェンダとされた時代は遠のき、いまや、貿易政策の目的は、自由競争に基づく、開放的で規制の行きとどいたインフォメーション・エコノミーを保障することにある。電子商取引はまだ新しい形態で、これを規定している自由貿易合意は、世界を見渡してもアメリカ・ヨルダン自由貿易協定だけだし、一九九八年のサイバースペースの免税合意を別にすれば、WTOもこの領域においてほとんど無力である。今後、WTOの基本理念である非差別主義、内国民待遇、最恵国待遇を、貿易に加えて電子商取引にも適用してゆくべきである。一連のハイテク関連合意やアメリカの「ネットワーク化世界」構想は、今後の方向性をすでに描き出しており、この道筋をたどっていけば、非常に洗練度の高い、自由競争に基づく革新的なインフォメーシ
ョン・エコノミーへとたどり着けるだろう。

資本主義の精神と文化

2001年4月号

ロバート・サミュエルソン/ニューズウィーク誌コラムニスト

アジアにおける親密な個人関係と血縁を基盤とする社会関係は、この地域の経済発展に一役買った。この二つの要素が相まって、欧米の法と独立した司法がはぐくんできたのとまったく同質の、商取引に必要とされる安心感と信頼が作り出された。戦後のアジア諸国はこうした家族支配の企業へ依存することによって、アジア諸国は「商法の整備を待たずに、経済成長を加速できた」。問題なのはアジアが急成長しすぎたため、こうしたシステムでは間に合わなくなっていることだ。

経済改革を阻むアジアの社会環境

2001年4月号

ヒルトン・L・ルート ミルケン・インスティチュート グローバル経済担当ディレクター

アジア企業が欧米流の改革を断行していないとすれば、それは欧米の改革を理解していないからではなく、単に彼らが置かれている状況下で改革を行うことが意味をなさないからだ。欧米の批評家たちは、アジアの企業が、この地域の社会、制度面での特異性に合理的に対応してきたことを見落としている。こうしたやり方が過去における成長を呼び込み、今でも、短期的な成長の基盤を提供している可能性がある。 だが、資金を調達できない状況が続けば、アジア企業も資本市場にアクセスするために自己変革を余儀なくされる。グローバル経済にむけた自己変革に成功した企業が収益と生産性の伸びを示すことこそ、改革の妥当性を示す根拠となり、改革を促進する刺激となるだろう。

世界は三つの貿易ブロックに分裂してしまうのか

2001年4月号

フレッド・バーグスティン 国際経済研究所所長

グローバル化のなかで、世界には三つの貿易ブロックが形成されつつある。アメリカ経済が大幅にスローダウンすれば、ヨーロッパとアジアはより大胆に独自の道を歩み始めるだろうし、実際に東アジアは歴史上始めて自分達の経済圏を構築しつつある。「資金もたいして出さず、自国の法律ややり方を変えることもなく、他国に命令だけを下す」。アメリカに対するこのような不満が、世界中でより一般的な反米主義と混じり合い、それを強化している。だからこそ、ヨーロッパと東アジアは自分たち独自の経済圏づくりに乗り出しているのだ。問題は、アメリカが無気力なままであれば、伝統的に多国間プロセスにもプラスの方向で作用してきた地域的自由化の試みが、しだいに地域ブロック間の反目と敵意によって彩られかねないことだ。

グローバル議会の設立を提唱する

2001年3月号

リチャード・フォーク プリンストン大学教授 アンドリュー・ストラウス ワイドナー大学教授

人々のグローバリズムに対する不満が高まっているのは、世界の指導者たちが民主的統治へのコミットメントを示しつつも、民衆生活に影響を与えるようなグローバルレベルでの決定に対して市民が発言権を持っていないからである。グローバルな民主的フォーラム(グローバル議会)が誕生して初めて、環境・労働基準について討議したり、南北両方の観点から経済的公正さについて考えたりできるようになる。社会正義や人道的な世界秩序の形成に関心のある人々にとって、グローバル議会を中核とする民主的なグローバル統治が持つ魅力はこれまでになく高まっている。

米兵力の削減を
――沖縄、ボスニア、湾岸からの部分撤退を検討せよ

2001年3月号

マイケル・オハンロン ブルッキングス研究所上席研究員

十万の前方展開兵力を維持することがアメリカのコミットメントのシンボルになると結論したナイ・リポートから6年、今やこの数字を見直してもよい状況にある。日本の米軍基地を現状のまま維持しようと試みれば、大変な反発を招き、朝鮮半島や台湾海峡での危機の際に大きなアセットとなる沖縄の嘉手納空軍基地や日本本土の海・空軍基地の使用権を失うことになりかねない。ワシントンは沖縄における海兵隊の兵力を五千程度へと削減すべきだし、海兵隊の設備や訓練・演習場も日本側に返還すべきだろう。

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