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論文データベース(最新論文順)

グローバル化の中の国民国家の役割

2001年6月号

マーティン・ウォルフ ファイナンシャル・タイムズ主席経済論説委員

グローバリゼーションは、まさにその名が示すごとく、国民国家の天敵とならざるを得ないのだろうか。統合へと向かう流れが不可避の宿命ではなく意図的な選択であるとすれば、国家を無能と考えることはできないだろう。国家の潜在力はその選択にこそあるからだ。グローバリゼーションによって、国家は意図する活動や求められる活動を遂行する能力、特に課税、所得再分配のための公共支出、およびマクロ経済政策といった重要分野に関わる能力を失うとよく言われる。しかし、この認識は正しいと言えるのだろうか。

日米企業の再逆転の真相

2001年6月号

クレイトン・クリステンセン ハーバード大学ビジネススクール教授  トーマス・クレイグ モニター・グループ ディレクター  スチュアート・ハート ノースカロライナ大学ビジネススクール教授

日本企業の経営陣は経営の金科玉条に従って、消費者のニーズに敏感に対応し、最大の利益を上げる新製品やサービスに集中的な投資を行った。だが、もはやそれだけでは成長は望めない。企業が市場の最上位に達し、成長を持続させるのに必要な市場規模を見いだせなくなると、痛みを伴う合併がゲームの「上がり」として待ち受けている。アメリカ経済が近年好調なのは、日本式経営の信用が落ちてアメリカ式経営のパラダイムが急に優勢になったからではなく、アメリカでは日本と違って既存市場へのディスラプティブ(下からの挑戦)・サイクルが繰り返されているからだ。

天安門ペーパー再考

2001年6月号

ルシアン・W・パイ マサチューセッツ工科大学名誉教授

「重要な決定はみな私が承諾しなければならなかった。私はあまりに独りで重責を担いすぎた。これは、共産党にとっても、国にとってもよいことではない。私は、引退を考えるべきだ。しかし、いまこの瞬間に身を引くことはできない。目の前にある問題を放置したままで、どうして引退などできようか」(戒厳令直前の鄧小平の言葉)

いまや国際政治を突き動かしているのは経済競争であり、当然、重要な経済資産や資源へのアクセスをめぐる競争も激化している。さらにやっかいなのは、重要な資源の多くが、ライバルたちが競い合っている地域、あるいは恒常的に不安定な地域に存在することだ。世界の資源動向とそれに関連する政治・地政学的現象は、政策決定者が世界の大枠での安全保障問題の今後を検証する際の優れた枠組みとなるだろう。

米外交問題評議会ミーティング
オルブライトVS.キッシンジャー
――米中・北朝鮮、ミサイル防衛、人道的介入の将来

2001年6月号

ジョージ・シュルツ ウォーレン・クリストファー  マドレーン・オルブライト ヘンリー・A・キッシンジャー

私が懸念しているのは、偵察機接触事故が、権力移行期に突入した中国において強硬派の立場を有利にしはしないか、一方でわれわれが中国を新たな敵対勢力と決めつける動きにつながりはしないかということだ。(オルブライト)

われわれがなすべきこと、われわれにできること、われわれが望むこと、そしてわれわれにはできないこと、これらを区別して理解しなければならないし、国益概念にはこれらのすべてがかかわってくる。(キッシンジャー)

アメリカだけでなく、ヨーロッパも、京都議定書に盛り込まれた削減目標を全うできないだろう。各国が京都議定書を順守できるはずはなく、当然、議定書はすでに死滅しているも同然というのが揺るぎない事実だ。京都合意に代わる多国間対応枠組みを再構築する必要があるが、アメリカはその前に、排出規制に向けた本格的な政策を国内で導入すべきである。

バイオテロリズムの悪夢

2001年5月号

ローリー・ギャレット ニュースデイ紙科学・医学担当記者

テロリストが生物兵器を波状的に連続使用したり、最初から複数の致死的病原菌を組み合わせてテロ攻撃を行えば、いかにすぐれた予防接種プログラムでも状況に対応できない。軍事防衛、危険物質防衛チーム、ハイテクセンサーのどれもが深刻な欠点を抱えているため、バイオテロに対する最も重要な対応ができるのは、軍でも警察でもなく、医師、疫学専門家、救急搬送者、看護婦、そして公衆衛生局である。軍や警察主導型の現在のバイオテロ対策枠組みが、より公衆衛生部門を重視したものへと変化しない限り、バイオテロ対策はおそらく失敗する。

CFRリポート
弾道ミサイル防衛を考える

2001年5月号

ジャン・ローダル 元政策担当国防次官

ブッシュ政権の支持勢力は、核抑止から離れて「防衛支配」(defense dominance)を重視するミサイル防衛構想の実施を求めているが、これは非現実的である。「限定的ミサイル防衛」と抑止力で攻撃を抑止するほうが、防衛支配を目指すよりも優れた戦略である。 アジアでは戦域ミサイル防衛(TMD)システムが必要とされている。中国がミサイル戦力の増強を続けるとしたら、これに加え、日本と台湾は国内でかなりのミサイル防衛能力を整備する必要が出てくる。

以下は二〇〇一年二月に米外交問題評議会から出版されたThe Price of Dominance: The New Weapon of Mass Destruction and Their Challenge to American Leadership, Council on Foreign Relations Book, 2001(仮題『優位の代価、新型大量破壊兵器とアメリカのリーダーシップの課題』)の弾道ミサイル防衛を検証した第三章の全文。

宇宙での軍拡競争を回避せよ

2001年5月号

マイケル・クレポン ヘンリー・L・スティムソン・センター 名誉会長

いまや世界経済は衛星に多くを依存しており、二〇一〇年までにその数が二〇〇〇に達するという見方もある。こうしたなか、宇宙空間に多くを依存しているアメリカの脆弱性は高まっており、これを克服するには宇宙戦争用の兵器システムが必要であるという主張が出始めている。だが、アメリカによる衛星攻撃兵器の開発・配備は、アメリカの安全保障、同盟関係、核不拡散条約、ミサイル防衛のいずれに対しても大きな悪影響を与える。衛星という資産を守りつつも、宇宙での軍拡競争を誘発しない路線を模索することこそ、アメリカの利益である。

外交問題評議会タスクフォース・レポート
アメリカと東南アジア

2001年8月号

J・ロバート・ケリー   米外交問題評議会・東南アジア政策タスクフォース議長  ロバート・A・マニング   同ディレクター

以下は二〇〇一年六月に公開された、アメリカの東南アジア政策に関する米外交問題評議会タスクフォースによる大統領へのメモランダムと、リポート本文の要約・抜粋。反対意見を含む英文の全文はhttp://www.cfr.orgからアクセスできる。

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