イスラム世界とメディアの攻防
2002年5月号
アメリカの正義や価値観をいかに訴えかけても、イスラム世界の反米感情がなくなることはない。政治的失策への市民の不満の矛先を、自国政府ではなく、アメリカに向かわせてガス抜きさせるという、アラブ社会の安全弁としての国営メディアが存在するからだ。グローバル社会にイスラムの人々が参加できるようにするには、まずイスラム社会の市民が情報へのアクセスと表現の自由を享受できるようにし、女性やマイノリティーに発言権を認めなければならない。イスラム社会が表現の自由を獲得して初めて、テロが生まれた暗闇に日が差し込むようになる。