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論文データベース(最新論文順)

カスピ海資源開発の政治経済学

2002年4月号

ジャン・H・カリッキ ウッドロー・ウィルソン・センター研究員

カスピ海周辺のエネルギー資源を間違いなく地域市場、国際市場へ搬出するには、ロシアのパイプライン輸送に依存している現状を見直して、多層的なパイプライン建設を実現する必要がある。膨大な資源を有するカスピ海周辺諸国が、ロシアやイランの力を借りずにエネルギー資源とパイプラインを欧米と共同開発することこそ、アメリカと世界全体を潤すだけでなく、カスピ海周辺諸国にとっても自国の安全と繁栄を確保する最も確実な道であり、ブッシュ政権はこの方向での政策面の見直しを早急に行うべきだ。

イラクを攻撃すべきこれだけの理由

2002年4月号

ディレクター チャールズ・ボイド  元駐留NATO米軍副司令官 、 共同議長 リチャード・ホルブルック 前米国連大使、 カーラ・ヒルズ  元米通商代表部代表

以下は、米外交問題評議会が米同時多発テロ後に組織した「テロリズムに関するタスクフォース」の研究会報告からの抜粋。タスクフォースには、シャリカシュビリ元統合参謀本部議長、ブラウン前国防長官、ルービン前財務長官、アジャミー・ジョンズ・ホプキンス大学教授、ナイ・ハーバード大学教授、ウェブスター元CIA及びFBI長官、ウィールジー元CIA長官、ジョージ・ソロス氏らが参加している。

金融危機のさらなる教訓
――アルゼンチンのケースから

2002年4月号

マーティン・フェルドシュタイン ハーバード大学教授

アルゼンチンでの金融危機の教訓は3つある。固定為替レートは、通貨の過大評価、通貨危機、債務不履行を引き起こしかねず、変動為替レートこそがこれらの問題を避ける唯一の方法だということ。第2に、ドル建ての借り入れが非常に危険だということ。そして第3に、貿易自由化、外国からの直接投資の奨励、国営企業の民営化策が好ましい政策であるということだ。

石油をめぐるロシア対サウジの最終決戦
――エネルギー安保の分水嶺

2002年3月号

エドワード・L・モース  前米国務副次官補(国際エネルギー担当)、ジェームズ・リチャード ファイヤーバード・マネジメント社ポートフォリオマネジャー

ロシアの石油企業によるロシア、中央アジア地域での開発が実現すれば、今後4年のうちに旧ソビエト諸国からの石油輸出の合計は、サウジアラビアの輸出にほぼ匹敵するものになる。九月十一日が、ロシア、アメリカ、石油輸出国機構(OPEC)にとって、全く新たな地政学状況を作りだしていることを、ロシアは、政治・経済的に立ち直る好機と捉えている。問題は、サウジアラビアが、ロシアの攻勢を阻止できるほどの、徹底した価格戦争を戦う余力があるかどうかだ。

新世紀の戦略的機会を生かすには

2002年4月号

ジョセフ・R・バイデン 米上院外交委員長

対テロ作戦をめぐっては、各国の国内法による取り締まりから情報活動の共有にいたるまで、われわれは同盟国、友好国の国際的協力を必要としており、孤立も単独行動主義もアメリカの選択肢とはなり得ない。単独行動主義を経て、やっと開かれた国際協調とアメリカのリーダーシップというドアをアメリカ政府が突然閉ざしたり、何度も開けたり閉めたりすれば、今後数十年にわたって秩序を規定するであろう力学をうまく形作れなくなってしまう。現在の機会を秩序の長期的安定へと向かわせるには、国際協調を基盤とする世界へのエンゲージメントを堅持しなくてならない。

以下は、二〇〇二年二月四日にワシントンで開かれた、米外交問題評議会主催のミーティング・プログラムでのジョセフ・バイデン米上院外交委員長の演説からの要約・抜粋。

中東諸国の政治・経済改革の断行を求めよ

2002年4月号

マーティン・インディク 前駐イスラエル米大使

ワシントンはこれまで、社会変革によるカオスか、状況を放置したままでの腐敗の継続かという二者択一のなか、中東の腐敗した政権を支援することを選択してきた。だが、腐敗したサウジアラビア、エジプトの政権を支援した結果、アルカイダを誕生させるような社会土壌を育んでしまった。もはや同じ過ちを繰り返してはならない。ワシントンは新たな取り決めの一部として、中東諸国での政治・経済改革を強く求めていくべきである。

イスラム主義と民主主義は両立する
――中東社会の自由化こそ最善の対テロ政策

2002年4月号

グラハム・E・フラー 元CIA・国家情報会議副議長

抑圧的指導者を交代させることもできず、反政府的意見を表明すれば弾圧される。社会問題の対応は放置されたままとなり、民衆の怒りは行き場を失う。これこそ、アメリカが維持しようとしている中東の「安定」の真の姿だ。必要なのは、人々を対米テロの支持へと向かわせる社会の閉塞状況を終わらせるイスラム社会の自由化・開放である。
対テロ作戦が、反米主義とテロを台頭させた中東の劣悪な社会環境をますます悪化させるようであれば、アメリカと中東にとって壊滅的な事態となる。

スーダン
――終わりのない戦争

2003年3月号

ランドルフ・マーチン 国際救済委員会シニア・ディレクター

「地域を不安定化させている。国際テロを支援している」というスーダン政府の悪評については、それを見直してもよいほどの改善がみられ、人権状況もある程度はましな状態になっている。こうした国内政策の転換や石油パイプラインの誕生によって、国際社会からの孤立状況も緩和されつつある。だが、内に目を向ければ、政府が抗争相手である南部の勢力と和解する動機は薄れつつある。石油の収益は政府が内戦を継続する財的基盤を得たことを意味するし、南部勢力間の対立も解消されていないからだ。

悪の枢軸と国際協調の行方

2002年3月号

アル・ゴア 前米国副大統領

ブッシュ政権は時にこれを逆さにして、「そうせざるを得ない時は他国とともに、可能であれば単独で」事を運んでいる。世界には「貧困と無知、疾病と環境破壊、腐敗と圧政」という「もう一つの悪の枢軸」が存在する。われわれが現在直面しているのは、膨大な規模の民衆が感じている幾重もの悲しみからほとばしる怒りの表れなのだ。重要なのは、アメリカがテロリストに対して毅然たる態度をとるだけでなく、経済的機会と民主的自由を支持しなければならない、ということだ。

「反独占」に関する米欧の認識ギャップ
―ハネウエル・GE合併挫折の背景にあるもの

2002年3月号

デービッド・S・エバンス ナショナル・エコノミック・リサーチ・アソシエーツ社 上級副社長

二〇〇一年七月、欧州委員会はゼネラル・エレクトリック(GE)とハネウエルインターナショナルの合併計画を認めないとする決定を下した。実現すれば年間の売上が千五百億ドルを超えるこの合併計画を、アメリカ司法省はすでに承認していた。それだけに欧州連合(EU)の決定は、両社だけでなく、合併によってハネウエルが強力で効率的な企業に生まれ変わると予測していた多くのアナリストたちにも衝撃を与えた。しかもヨーロッパとアメリカは、過去数年にわたり足並みの揃った反トラスト政策の運用をアピールしていただけに、一層衝撃は大きかった。今回のケースは、反トラストへのアメリカとヨーロッパの姿勢の違いを浮き彫りにすることになった。

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