1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

論文データベース(最新論文順)

米外交問題評議会タスクファース・リポート
二十一世紀の戦略的エネルギー政策の課題

2001年10月号

エドワード・L・モース 米外交問題評議会・エネルギー政策タスクフォース議長  エイミー・M・ジャッフェ 同ディレクター

以下は二〇〇一年四月に、米外交問題評議会とライス大学付属ジェームズ・べーカー公共政策研究所が発表したエネルギー政策に関するタスクフォース・リポートからの抜粋(英語の全文http//www.cfr.org/Public/publications/taskforce.htmlからアクセスできる)。同評議会のタスクフォース・リポート発表からほぼ一カ月後に、ディック・チェイニー副大統領が議長を務めたブッシュ政権のタスクフォースが「国家エネルギー政策」を発表した。

世界銀行の過去と未来

2001年9月号

ジェシカ・アインホーン  前世界銀行専務理事

過酷な経験と悲惨な現実を前にしているのに、世界銀行にはなぜこうも過大な期待が寄せられるのか。特定の問題や領域を無視しているという批判を受けて、世界銀行は次々と新たな任務を引き受け、その結果、任務が複雑化し、いまや組織的にもうまく管理されているとは言い難い状況にある。
政策決定者たちは、世界銀行の機能の一部を別途担う新たな組織の設立や、既存の機関に機能の一部を分散化させることを含むさまざまな選択肢を検討すべきだろう。解決策が何であれ、手に負えないほどに肥大化してしまった世界銀行の任務を再定義すべき時期にきている。虚心坦懐な自己認識を持って、管理面に焦点を絞りこんだ世界銀行の任務の再定義と機構改革を行うべきである。

グローバル化と仏外相の現実主義

2001年9月号

スタンレー・ホフマン  ハーバード大学教授

現実主義者で国家主権を重視するフランスのベドリヌ外相は、国の主権とは「国の威厳やアイデンティティー」そのものであり、グローバル化という侵略に対する「盾」だと言う。だが現実には、主権が国内の悪に必要以上に大きな盾を提供している部分があることも忘れるべきではない。今後フランスは、その「ソフトパワー」を強化していく必要があり、また、その影響力を増していくには同調してくれるパートナーとの連帯が必要である。そのためには、ベドリヌが痛烈に批判するメディアや非政府組織といった理想主義を得意とする勢力の力を借りる必要がある。「理念的現実主義」はそれ自体好ましいだけでなく、現実主義の立場も強化してくれるのだから。

国際金融制度を脅かすダーティー・マネー

2001年9月号

ウィリアム・F・ウェシュラー  前米財務長官特別顧問

「口座情報の厳格な機密保持、顧客情報公開という行為の犯罪化、そして、他国の法執行当局との国際協調の禁止」を自国の法律に盛り込みさえすれば、スイスやケイマン諸島でなくても、簡単にダーティー・マネーを魅了できることを各国が理解し始め、いまや不法な資金の避難地域は世界に広く拡散している。こうした課税回避行動やマネーロンダリング行為ゆえに、国内でまじめに納税している市民の税負担の重みが増しているだけでなく、世界各地で金融メルトダウンが誘発されている。

中央銀行は失業率を気にせずに、インフレ率だけを見ていればよいとするインフレターゲット論者は、経済成長と完全雇用の達成にとらわれている中央銀行には問題があり、慢性的な高失業率という犠牲を払ってでも物価安定を達成してきたドイツ連銀のような中央銀行こそが正しいモデルである、と言う。完全雇用、安定成長、妥当な物価の安定の実現は彼らの言うように本当に不可能なのか?

債務救済の理念と現実

2001年9月号

M・A・トーマス  メリーランド大学経済学部付属研究所副所長

HIPC債務救済イニシアチブが、救済措置適用国の貧困層を潤しているわけではない。債務を帳消しにするとしても、その条件として、資金の有効な利用と構造改革の実施を義務づけない限り、貧困層が救われる可能性は低い。だが、迅速な債務救済をやみくもに求める現在の政治圧力は、そうした条件を考案し強制することをむしろ妨げてしまいかねない。HIPCで社会サービスが機能していない直接的理由は、社会保障支出が債務の金利支払いに充てられているからではなく、HIPCの統治がなっていないからである。水をザルでは運べないように、こうした諸国で社会保障支出を増やしても、社会サービスがそれを必要としている人々のところに届くわけではない。

崩壊する「日本というシステム」

2001年9月号

レオナード・J・ショッパ バージニア大学準教授

いまや日本人は、日本のシステムからの「退出」路線を選ぶほうが、政府の政策を変えようと試みるよりも好ましいと確信しているようだ。運命共同体的な日本企業も二分され、競争力のある企業は自分だけのボートを保有するようになり、その結果、競争力のない企業が救済措置を求めて日本政府へ影響力を行使することにも異を唱えなくなった。日本の銀行や政府が、形ばかりの再建案と引き換えに、いまも債務まみれのゾンビ企業への新規融資や公共事業を提供するなか、競争力のある日本企業、老後を心配する市民、若い女性たちはこれまでの日本のシステムから退出しつつある。

Classic Selection 2001
日本システムから退出する企業と個人

2001年9月号

レオナード・J・ショッパ バージニア大学准教授(論文発表当時)

いまや日本人は、日本のシステムからの「退出」路線を選ぶほうが、政府の政策を変えようと試みるよりも好ましいと確信しているようだ。運命共同体的な日本企業も二分され、競争力のある企業は自分だけのボートを保有するようになり、その結果、競争力のない企業が救済措置を求めて日本政府へ影響力を行使することにも異を唱えなくなった。日本の銀行や政府が、形ばかりの再建案と引き換えに、いまも債務まみれのゾンビ企業への新規融資や公共事業を提供するなか、競争力のある日本企業、老後を 心配する市民、若い女性たちはこれまでの日本のシステムから退出しつつある。

レビュー・エッセイ
核の存在理由を問い直せ

2001年8月号

ロバート・ジャービス  コロンビア大学国際政治学教授

アメリカの安全保障政策をうまく機能させるには、その政策を国際社会が受け入れて認めることが前提だが、現実には世界の多くの諸国が、(北朝鮮やイラクよりも)むしろアメリカのことをならず者の超大国と見ている。ミサイル防衛構想に関連して、大量破壊兵器、ならず者国家、テロリズムに対する脅威認識が高まっているのは、アメリカの安全保障に対する伝統的な脅威が存在しなくなったためであり、これらが現実上の問題だからではない。外交政策の一手段として核兵器が存在するわけで、その逆ではないことを認識し、核兵器がどのように外交を利するかが、核の論争の基本テーマでなければならない。

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