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論文データベース(最新論文順)

ブッシュ政権の対北朝鮮強硬策の全貌
――「強硬なエンゲージメント政策」の目的は何か

2002年5月号

ビクター・D・チャ ジョージタウン大学外交学部準教授

「対話と交流を重ね、変化が起こるのを辛抱強く待つ」という、かつての対北朝鮮エンゲージメント政策はすでに放棄されている。脅威を醸成し、それをカードに利益を引き出すという平壌のやり方をブッシュ政権が今後容認することはあり得ない。強硬なエンゲージメント政策の本質は、関与策を通じて、平壌の敵意に満ちた意図を暴き、それが白日の下にさらされた場合には強硬策をとり、半島の統一を前提に、東アジアの戦略環境を整備していくことにある。

シャロンの真意はどこにあるのか
――国内政治とパレスチナ強硬策の行方

2002年5月号

アルフ・ベン ハーレツ紙外交担当記者

左派、右派からの相矛盾する要請によって国内的に身動きがとれず、一方で、対パレスチナ強硬策を継続すれば、アメリカの支援を失う。加えて、経済はほぼゼロ成長状態であり、失業率も悪化している。行動の人、シャロンも、経済的・政治的危機を前に身動きのとれぬ状態に追い込まれている。アラファトを打ちのめしたいと願いつつ、国内的に時間稼ぎをして政治的に持ちこたえたとしても、高まる一方の国内経済の回復を求める声を前に、シャロンが今後事態を統御していく力を失っていくことは避けられない。

大局的な最終合意案を示せ

2002年5月号

フセイン・アガ  オックスフォード大学シニア・アソシエート・メンバー   ロバート・マリー クリントン政権アラブ・イスラエル問題担当大統領特別補佐官

数多くの暫定措置がつくりだした悪循環の中、イスラエルは、テロ攻撃を受けている間は交渉できないと信じ、パレスチナ側は、攻撃しなければイスラエルは交渉に応じないと恐れている。殺し合いを確実に食い止める手段はただ一つ、問題の本質を解決し、紛争そのものを具体的かつ公正に解決するような最終合意案を両陣営に示し、これを国際的監視の下で実現していくことだ。課題は、イスラエルとパレスチナの意向に沿うように和解努力を調整することではない。むしろ重要なのは、双方の指導者の能力の限界や意図によって左右されない和平の枠組みをつくることだ。

パレスチナの反乱は終わらない

2002年5月号

クリス・ヘッジ ニューヨーク・タイムズ紙記者

パレスチナの子どもたちは、幼いころから民族主義と復讐の責務を聞かされて育ち、イスラエルに対する反発は世代を超えて社会に浸透している。貧困の中で困難な生活を余儀なくされている占領地の人々にとって、抵抗運動を繰り広げることこそ生活の中で最も没頭できることなのかもしれない。「かつてのインティファーダの英雄たちの時代は去り、今や幅を利かせているのは、ファタハの腐敗とは無縁な、髭を伸ばしたイスラムの戦士たちである」。

中央アジアを安定化させるには

2002年5月号

ポーリーン・ジョーンズ・ルオン  イエール大学政治学助教授 、エリカ・ウェインソール テルアビブ大学政治学助教授

中央アジア各国の政治的抑圧体制ゆえにイスラム主義運動が過激化し、民衆を過激派への支持へと向かわせている。これが秩序の不安定化を招き、さらに、穴だらけの国境線を越えて兵器や過激派が自由に移動していることが状況をさらに深刻にしている。過酷な抑圧体制を敷くウズベキスタンを、ブッシュ政権が、対テロ戦争との関連で中央アジアの覇権国に仕立て上げれば、地域秩序はますます不安定化する。イスラム原理主義の脅威をもっぱら軍事問題としてとらえれば、水資源をめぐる紛争、麻薬、難民、武器の流出入など、テロを招いた根本的問題への対応が放置され、不安定な状態が続くことになるからだ。

イスラム世界とメディアの攻防

2002年5月号

デイビッド・ホフマン 「インターニュース・ネットワーク」代表

アメリカの正義や価値観をいかに訴えかけても、イスラム世界の反米感情がなくなることはない。政治的失策への市民の不満の矛先を、自国政府ではなく、アメリカに向かわせてガス抜きさせるという、アラブ社会の安全弁としての国営メディアが存在するからだ。グローバル社会にイスラムの人々が参加できるようにするには、まずイスラム社会の市民が情報へのアクセスと表現の自由を享受できるようにし、女性やマイノリティーに発言権を認めなければならない。イスラム社会が表現の自由を獲得して初めて、テロが生まれた暗闇に日が差し込むようになる。

変化する任務、変貌する米軍

2002年5月

ドナルド・H・ラムズフェルド 米国防長官

今後ペンタゴンは、どこのだれかわからない、見たこともない勢力による、不確実で予期せぬ攻撃から国を守らなければならない。われわれの課題は、新タイプの攻撃から米国の都市、友好国、同盟国、海外展開軍、そして、宇宙での資産やコンピューター・ネットワークを守りつつ、新たな敵と戦うために遠隔の地に戦力を展開する能力を持つことだ。新しい三元戦略は、削減された核戦力、最先端の通常戦力、一連の防衛システム(弾道ミサイル防衛、巡航ミサイル防衛、宇宙防衛、サイバー防衛)から成り、これらが抑止の新アプローチの基盤となる。

カスピ海資源開発の政治経済学

2002年4月号

ジャン・H・カリッキ ウッドロー・ウィルソン・センター研究員

カスピ海周辺のエネルギー資源を間違いなく地域市場、国際市場へ搬出するには、ロシアのパイプライン輸送に依存している現状を見直して、多層的なパイプライン建設を実現する必要がある。膨大な資源を有するカスピ海周辺諸国が、ロシアやイランの力を借りずにエネルギー資源とパイプラインを欧米と共同開発することこそ、アメリカと世界全体を潤すだけでなく、カスピ海周辺諸国にとっても自国の安全と繁栄を確保する最も確実な道であり、ブッシュ政権はこの方向での政策面の見直しを早急に行うべきだ。

イラクを攻撃すべきこれだけの理由

2002年4月号

ディレクター チャールズ・ボイド  元駐留NATO米軍副司令官 、 共同議長 リチャード・ホルブルック 前米国連大使、 カーラ・ヒルズ  元米通商代表部代表

以下は、米外交問題評議会が米同時多発テロ後に組織した「テロリズムに関するタスクフォース」の研究会報告からの抜粋。タスクフォースには、シャリカシュビリ元統合参謀本部議長、ブラウン前国防長官、ルービン前財務長官、アジャミー・ジョンズ・ホプキンス大学教授、ナイ・ハーバード大学教授、ウェブスター元CIA及びFBI長官、ウィールジー元CIA長官、ジョージ・ソロス氏らが参加している。

金融危機のさらなる教訓
――アルゼンチンのケースから

2002年4月号

マーティン・フェルドシュタイン ハーバード大学教授

アルゼンチンでの金融危機の教訓は3つある。固定為替レートは、通貨の過大評価、通貨危機、債務不履行を引き起こしかねず、変動為替レートこそがこれらの問題を避ける唯一の方法だということ。第2に、ドル建ての借り入れが非常に危険だということ。そして第3に、貿易自由化、外国からの直接投資の奨励、国営企業の民営化策が好ましい政策であるということだ。

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