「民主国家中国」の幻の遺産
2004年9月号

1890年代の清朝末期以降、中国は政治論争のなかにあった。康有為、厳復、梁啓超などの知識人たちは、自分たちの国が列強の葦刈り場とされるのを避けるには、西洋の思想に中国の伝統を接ぎ木して民主主義を導入すべきだと考えていた。社会的開放と民主主義への道筋を描き、それを中国語で明快に表現していたこうした知識人たちは民主国家中国の「幻の建国の父」である。市場経済と共産党の支配体制が社会に亀裂を生じさせているいま、現代の中国の知識人たちは彼らの思想を思い出し、この幻の民主的伝統を今後の路線に生かすべきではないか。