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論文データベース(最新論文順)

ブッシュ政権の危険な核不拡散政策

2003年4月号

ジョージ・パーコビッチ カーネギー国際平和財団副会長

ブッシュ政権の核拡散問題の「急進派」は、核兵器そのものが問題なのではなく、悪漢がそれを保有することが問題だと考えている。彼らは、今日の好漢が明日の悪漢になる危険があることも理解しており、「敵対勢力を抑止・打倒していくには、アメリカは膨大な核の兵器庫を維持し、改良していく必要がある」と主張している。
つまりブッシュ政権は、現実には、問題ありとみなす政権を次々に打倒し、一方で、大規模な核の兵器庫を着実に近代化させていく戦略をとっている。だが、核拡散の脅威は、ブッシュ政権のいう「悪の枢軸」国家によってだけでなく、核兵器や核関連物質の存在そのものによって生じていることを忘れてはならない。

石油の枢軸?―イラク戦争と米ロ関係の行方

2003年4月号

デビッド・G・ビクター 米外交問題評議会 準シニア・フェロー
ナデジャ・M・ビクター イエール大学 リサーチ・アソシエート

米ロ政府は、ロシアの石油輸出を拡大することに大きな共有利益を見いだしている。アメリカにとっては、石油の供給ラインを多角化できるし、ロシアにとって、それは歳入増と雇用創出を意味する。だが、アメリカがイラクを攻撃すれば、石油価格は急落し、逆に、モスクワとアメリカの立場の違いが際立つことになるだろう。
経済の大部分を原油の国際価格に依存しているロシアにとって、石油価格の下落は致命傷となりかねないからだ。むしろ、石油の使用効率の改善を促したり、原子力発電及び核廃棄物処理のための新技術を共同で開発したりすることが、米ロ双方にとってよほど大きな利益となるのではないか。

米外交問題評議会インタビュー
アメリカと戦後イラクの再建

2003年4月号

エリック・シュワルツ 米外交問題評議会シニア・フェロー

以下は、二〇〇三年三月十二日に行われたエリック・シュワルツへのインタビューからの抜粋・要約。同氏はクリントン政権の国家安全保障会議のスタッフを務め、現在は、評議会の戦後イラクに関するタスクフォースのディレクター。評議会は戦後のイラクに関する暫定リポートを三月上旬に発表し、同氏は三月十日にイラクの戦後政策をめぐって上院外交委員会で証言を行った。聞き手はバーナード・ガーズマン、www.cfr.orgのコンサルティング・エディター。インタビュー全文、委員会証言ともにwww.cfr.orgからアクセスできる。

米外交問題評議会リポート
戦後イラクの改革をやり遂げるには

2003年4月号

タスクフォース共同議長
トマス・ピカリング 元米国連大使
ジェームズ・シュレジンジャー 元米国防長官
タスクフォース・ディレクター
エリック・シュワルツ 米外交問題評議会 シニア・フェロー

以下は、二〇〇三年三月十三日に公開された、米外交問題評議会の戦後イラクに関するタスクフォースのリポートからの要約・抜粋。全文はwww.cfr.orgからアクセスできる。

移民の排除ではなく、創造的な受け入れを

2003年4月号

ジャグディシュ・バグワティ 米外交問題評議会シニア・フェロー

先進国の市民社会は、自国にやってくる移民を政府が締め出すことをもはや許さなくなっている。一方、途上諸国は、1960年代の「頭脳流出」現象を思わせる大量の移民流出という事態に頭を悩ませている。
途上国は、外へ出ていく移民に二重国籍を認めて、国内市民と外国で暮らす元市民を、母国を中心とする拡大的共同体の中に組み込むような「ディアスポラ・アプローチ」をとるべきだろう。一方、先進国は、移民の締め出し策ではなく、「どのような形で移民を受け入れるのか」について創造的な政策をとる必要がある。そのためにも、国際レベルでの移民の流れを監視し、移民政策の国際的制度化を目的とする国際機関を創設すべきである。

イラクと北朝鮮に揺れる日本
―日本の「二重保険戦略」のその後

2003年4月号

エリック・へジンボサム 米外交問題評議会 シニア・フェロー
リチャード・J・サミュエルス マサチューセッツ工科大学政治学教授

イラク、北朝鮮という二つの危機への対応をめぐって日本政府が心がけているのは、経済上重要な諸国との協調関係を損なわないように配慮しつつも、ワシントンとの関係悪化につながりかねない行動を慎むことだ。こうしたやり方が、イラクと北朝鮮の危機を前にした日本に大きな課題を突きつけている。

イラン革命体制の終焉は近い

2003年4月号

ジャハンガー・アムゼガー 国際経済コンサルタント、元イラン財務相

イランは、数カ月以内に大規模な憲政の危機、あるいはより深刻な事態に陥るかもしれない。イデオロギーの破綻と経済運営の失敗によって、イスラム神権政治は正統性をめぐる最大の危機に直面させられている。人々はより大きな自由と法の支配を求めており、市民とメディアはそうした社会におけるイスラムの役割を疑問視している。宗教的指導者たちの覇権が脅かされるなか、イスラム国家崩壊への道がすでにくっきりと見えてきている。

米欧対立とメディアの攻防

2003年4月号

リチャード・ランバート 元フィナンシャル・タイムズ紙編集委員

もはやワシントンは、ヨーロッパとの関係を維持していくことが重要だとは感じておらず、ブッシュ政権が大西洋両岸の橋を構築するために大きな努力を行うと考えるのは非現実的だろう。
だからこそ、ヨーロッパ人は自らの考えを示すために、決然と、一貫性のある努力をすべきであるし、史上初めて、そうできる立場を手にしている。20年前は国家の寄せ集めにすぎなかった「ヨーロッパ」も、いまでは大きな実績を持つ世界経済の原動力となっているのだから。

ヨーロッパの独自防衛は実現するか

2003年3月号

フィリップ・H・ゴードン ブルッキングス研究所シニア・フェロー

ヨーロッパ諸国はコソボ紛争の顛末から、自分たちが軍事的にいかにアメリカに依存しているかを思い知り、大きな変革なしには状況を変化させられないことを認識した。
EUによる自立的防衛力を整備すれば、アメリカはヨーロッパにおける重荷を軽減できるし、ヨーロッパはより高い能力を持つパートナーになれる。
しかし今回の構想が、ヨーロッパの軍事力の不備を補うような軍事能力の向上ではなく、たんなる官僚制の強化につながり、NATOとの関係を複雑にしてしまうだけなら、ヨーロッパが全般的にいい方向に向かうとは思えない。

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