「われわれは、アメリカの目的の実現を損なわないような手段をとる指導者を必要としているし、同盟諸国をわれわれから離反させていったイデオロギー的な硬直性とは無縁な前向きの現実主義を必要としている」
「世界におけるアメリカの道徳的・政治的な権威と権限を回復しなければならない。そうした権限を回復できれば、われわれが行動を起こすと決断した場合に、アメリカと協調行動をとるように他国を説得できるようになる。国益以上の大きな何かにワシントンがコミットしない限り、他の諸国を説得することはできない」
1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。
「われわれは、アメリカの目的の実現を損なわないような手段をとる指導者を必要としているし、同盟諸国をわれわれから離反させていったイデオロギー的な硬直性とは無縁な前向きの現実主義を必要としている」
「世界におけるアメリカの道徳的・政治的な権威と権限を回復しなければならない。そうした権限を回復できれば、われわれが行動を起こすと決断した場合に、アメリカと協調行動をとるように他国を説得できるようになる。国益以上の大きな何かにワシントンがコミットしない限り、他の諸国を説得することはできない」
2004年5月号
米欧関係は、これまでになく緊張した局面にある。ヨーロッパ人の多くは、アメリカ人はヨーロッパに悪意をもっていると考え、一方アメリカ人の多くはヨーロッパ人の行動に反発し、ヨーロッパ側の脅威認識を的はずれだと切り捨てる。ヨーロッパでは、アメリカというハイパー・パワーを封じ込めるべきだという議論さえある。イラク戦争開始直後の二〇〇三年三月、米外交問題評議会は、キッシンジャー元米国務長官、サマーズ元米財務長官を共同議長に迎え、新しい局面を迎えている米欧関係に関するタスクフォースを組織した。邦訳文は、二〇〇四年三月に公表されたリポートに関するプレス・ブリーフィングからの抜粋・要約。リポート本文、プレス・ブリーフィングの全文(ともに英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。
2004年5月号
誰をどのような基準で「敵の戦闘員」とみなすのか。どのような状況でなら戦闘員を殺害したり、あるいは、裁判を経ずに無期限で拘束したりできる戦時ルールが適用されるのか。アメリカの軍事路線を対テロ「戦争」と呼ぶことで、ブッシュ政権は、平時に許されることと、戦時であれば容赦されることを区別する境界線を取り払ってしまっている。その役割も活動も闇の中で、特定の攻撃と個人の関係がはっきりしないことが多いテロ組織を一体どのような基準で判断すればいいのか。ブッシュ政権は、アメリカをより安全にしようと試みるなか、すでにすべてのアメリカ人、そして世界中の人々の自由に制約を加えている。
2004年5月号
スンニ派・シーア派の蜂起、シーア派内部の権力抗争、外国人人質事件など、六月三十日に予定されているイラク人への主権移譲を控えて、四月以降、イラクでは各勢力の思惑が一気に表面化し、大きな混乱が生じている。主権移譲プロセスの主導権も、アメリカから国連の手に委ねられつつある。国連による主権移譲プロセスはどのようなものになるのか、なぜこの時期に騒乱が起きたのか、イラク国内集団間の合意は形成されるのか、武装蜂起は収拾へと向かうのか。邦訳文は米外交問題評議会のインタビュー、Q&A、タスクフォース・リポートなどを資料に、フォーリン・アフェアーズ・ジャパンで再構成し、Q&A形式でテーマに沿ってまとめた。参考文献については文末を参照。
2004年5月号
中東問題の知的で冷静な評論で知られるグラハム・フラーは、「イラクの民衆が正統性を備えていると考えるような民主的システムをアメリカがイラクに残せるかどうか」が今後を大きく左右すると指摘する。そのような制度があれば、シスターニ率いるイラクの多数派であるシーア派は制度の枠内で活動しようとするだろうと指摘するフラーは、一方で、イラク人が正統性を認めるような憲法や政治秩序をアメリカが確立できなければ、各集団は武力を行使して政治権力を手にしようとするだろうと今後を予測する。 聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。 全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。
2004年5月号
ブッシュ政権が考える新生イラクのビジョンとシーア派が思い描く戦後イラクのビジョンの間には大きな開きがある。ワシントンは親米政権が率いる欧米型の民主的イラクを思い描いているが、シーア派、そして他のイラク人の多くは、自分たちの文化と伝統を反映する独立したイラク、ペルシャ湾における米軍の拠点として利用されないイラクの実現を望んでいる。
2004年4月号
2004年の米大統領選挙では1972年以来30年ぶりに、外交問題が論争の焦点の一つにされるだろうと、レスリー・ゲルブ前米外交問題評議会会長は予測する。単独行動主義か、国際協調かが主要な争点とされるであろう今回の選挙でどちらを支持するかと聞かれれば、「私はケリーを支持する」とゲルブは民主党候補への支持を表明した。また、戦後のイラクについては、クルド人、スンニ派、シーア派を共存させるには、イラクを連合国家にするしかないと指摘した。ゲルブはすでにニューヨーク・タイムズ紙でイラク連合国家論を展開している。
聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。 全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。
2004年4月号
現実主義と理想主義のバランスのとれたアメリカの外交コンセンサスは、ベトナムの混迷を前に分裂した。1990年代までには、リアリストの力は衰退し、(自分たちの目的の実現だけを目指す)シングルイシュー志向の利益団体や非政府組織(NGO)が台頭し、テレビが造りだす情緒的なイメージも大きな影響力を持つようになった。その結果、アメリカの外交政策は、「理想主義的ながらも国益を重視する路線」から、「世界を改革しようとするグローバルな社会工学の手段」へと変化していった。「アメリカは世界中どこにでも民主主義を広めていく権利と義務がある。必要なら軍事力を行使することも辞さない」。この新しいユートピア的ビジョンが誕生したのは、このような文脈においてだった。
2004年4月号
世界的に有名な投資家ジョージ・ソロスがブッシュ批判を展開した。「アメリカは圧倒的なパワーを乱用して自分の意思を世界に押しつけようとしている」と。秋の大統領選については民主党のジョン・ケリー氏支持を明言した。邦訳文は、2004年2月18日にニューヨークの米外交問題評議会で行われたミーティング・プログラムからの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。
2004年4月号
9・11以降、リベラルな国際主義を乗っ取った保守派は、単独行動主義に人権や民主主義のレトリックをまとわせている。しかし、ブッシュ政権の軍事偏重主義は、彼らがハイジャックしているリベラルな国際主義の理念とは本質的に相いれるものではない。21世紀におけるリベラルな国際主義を再興させるために、リベラルな国際主義者は、共和党の政策決定者からこの思想を奪い返し、保守派に悪用されないようにしなければならない。自由・自由貿易・人権の促進という野心的なアジェンダに取り組んでいくことが、長期的には、テロリズムその他の脅威に対する安全を高めていく最善の方法である。