中東は宗派間抗争で引き裂かれるのか
――スンニ派とシーア派の対立
2006年7月号
イラクにおけるシーア派の台頭というトレンドこそ、イラク、そして中東における宗派間のバランスを今後長期にわたって変化させていく大きな要因になる。ヨルダンのアブドラ国王は、スンニ派が支配する中東を、ベイルートからテヘランにいたるシーア派三日月地帯が分断することになるかもしれないと警告している。宗派間の政治的敵対を緩和するには、イラク、そして中東全域において、シーア派の要望を満たす一方で、スンニ派の怒りをなだめ、不安を取り除いてやる必要がある。そのためにも、世界最大のシーア派人口を持ち、地域的な影響力を高めつつあるイランにワシントンは関与しなければならない。イラクの状況がますます深刻になっていけば、中東全域がシーア派とスンニ派の宗派間抗争に巻き込まれていく危険がある。
