ブッシュ外交革命の終わり
――単独行動主義への回帰はあり得ないのか
2006年7月号
当初、現実主義路線を重視していたブッシュ政権が、イラク侵攻、そして、世界での圧政を終わらせると外交革命路線へと踏み出していったのは、9・11を前に「世界を変えるために何か手を打たなくては」という危機感を募らせるとともに、「世界を変えることができるかつてないパワーを手にしている」と確信したからだった。そこでは、同盟国を説得するのではなく、勝利を通じて支持を勝ち取ることこそリーダーシップの本質と考えられた。だがその後、アメリカの経済資源は枯渇し、外国、国内での政治的支持が低下するなか、すでにブッシュ政権は現実主義路線へと回帰している。だが、ブッシュ政権が再度路線を変える危険は十分ある。民主党や外交専門家が何を言おうとも、「アメリカの決意、楽観主義、そしてパワーが最終的には勝利を収める」とするレーガン政権時代以来の外交理念をいまもブッシュ政権の高官は捨ててはいないからだ。
