1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

論文データベース(最新論文順)

新指導層率いる中国の課題

2004年11月号

エリザベス・エコノミー/米外交問題評議会シニア・フェロー

中央軍事委員会主席ポストを辞した江沢民の表舞台からの退場によって指導層の世代交代は完了し、中国には胡錦涛や温家宝らが率いる第四世代の新指導層が誕生した。だが新世代の指導者たちは、貧富の差の拡大、腐敗の蔓延、共産党の権限の衰退という現実を前に、いかに経済と政治の改革を進めていくかという大きな課題に直面している。経済至上主義がつくり出した社会問題に、新指導層はどう対処していくのか。共産党の支配体制はどうなるのか。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

アメリカへの信頼はいかに失墜したか

2004年11月号

ロバート・W・タッカー/ジョンズ・ホプキンス大学名誉教授
デビッド・ヘンドリックソン/コロラドカレッジ教授

いまや世界はアメリカのことを、都合のよいときだけ国際法を持ち出し、そうすることが有利な場合だけ国際機関を利用する国際社会の異端者とみなしはじめている。国際法へのコミットメント、コンセンサス重視型の政策決定、特定の問題よりも巨視的な問題を重視する姿勢、世界平和の維持へのコミットメントという戦後のアメリカの正統性を支えてきた四つの支柱がなぜかくも大きく揺らぎだしたのか。アメリカの正統性を回復する道はあるのか。

CFRタスクフォース・リポート
イランへの選択的関与を

2004年11月号

◎スピーカー
ロバート・ゲーツ/ジョージ・H・W・ブッシュ政権CIA長官
ズビグニュー・ブレジンスキー/カーター政権国家安全保障問題担当大統領補佐官
スザンヌ・マロニー/プロジェクト・ディレクター
◎司会
リー・フェインシュタイン/米外交問題評議会シニア・フェロー

ロバート・ゲーツは、2006年12月上旬に提言を発表したイラク研究グループ(ISG)のメンバーだっただけでなく、2004年に米外交問題評議会(CFR)がまとめたイラン問題タスクフォースの共同議長も務めていた。現在、ブッシュ政権は、内外の政策提言を検証しつつ、イラク政策見直しを行っている。ISGはイラク問題を管理していくための国際会議の開催を提言し、リチャード・ホルブルック元国連大使も、最近のインタビューで、イラク問題を論じるのに、イラン、シリア抜きでは意味がないと発言している。核開発を続けているとしても、イラクの安定化にはイランの協力が欠かせないとすれば、かつてイランへの関与を説いたゲーツ新国防長官はどのようなイラク・イランへの政策スキームを考えているのか。本文は、イラン問題に関するCFRタスクフォースが2004年夏に発表したリポートに関する討論。

同時多発的な石油供給の混乱に備えよ  
――ベネズエラ石油危機の教訓

2004年10月号

ミシェル・ビリッグ/前米外交問題評議会国際関係フェロー

サウジアラビアの石油輸送の拠点が攻撃され、イラクの武装蜂起がさらに激化し、ナイジェリアで民族浄化が起き、旧ソビエトのチェチェン人分離勢力が破壊工作活動を行い、ベネズエラが禁輸策をとれば、世界の石油の供給はどうなるだろうか。非常事態に備えた、多層的な供給ラインの整備が必要である。

テロとイラクにどう対処する

2004年10月号

司会
リチャード・ハース/米外交問題評議会会長
パネリスト
マックス・ブート/米外交問題評議会シニア・フェロー
エリザベス・エコノミー/米外交問題評議会シニア・フェロー
ステファン・フリン/米外交問題評議会シニア・フェロー
ベン・ステイル/米外交問題評議会シニア・フェロー

経済問題よりも外交、安全保障問題が重視される二〇〇四年の米大統領選挙で問われる課題は何か。イラク戦争の結末はどうなるのか、テロとの闘いに勝利できるのか、中国の台頭は脅威か、国際協調と単独行動のバランスをどうとるのか。邦訳文は次期大統領の外交課題に関する討論会からの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

大量破壊兵器開発を阻止するには

2004年10月号

アシュトン・カーター/クリントン政権国防次官補

現在の技術では、大量破壊兵器(WMD)開発に関する情報の収集・分析は完全なものではなく、テロに対する防衛同様に、WMDに対する防衛も複層的なものとならざるを得ない。核分裂物質がテロリストの手に渡らないようにし、生物兵器テロの被害を最小限に抑え込めるような公衆衛生体制をつくり、核不拡散条約(NPT)の抜け穴を埋め、WMD関連情報の収集と分析の質を高める必要がある。

新大統領が直面する外交課題は何か  
――イラクの戦後復興、核不拡散、中国

2004年10月号

フォーリン・アフェアーズ・ジャパン・ブリーフィング

―― 新大統領の外交アジェンダ 新大統領の主要な外交課題は何か?

専門家の多くは、イラクとアフガニスタンの戦後復興、イラン、北朝鮮を中心とする核拡散問題、テロとの戦い、本土防衛、そして台頭する中国との穏やかな関係の構築を今後のアメリカの大きな課題とみなしている。

ハーバード大学のジョセフ・ナイは、新大統領の課題について次のように語っている。「最優先の課題は、テロと大量破壊兵器(WMD)の脅威への対応だ。第二の課題は、世界におけるアメリカの名声と信頼を再生すること。第三の課題は、中国の台頭にどう対処し、東アジアの安定をどう図っていくかだ」。

トルコはヨーロッパの一部になれるか

2004年10月号

デビッド・フィリップス/米外交問題評議会シニア・フェロー

欧州連合(EU)への加盟が実現すれば、トルコはもっと欧米に近づき、「近代的なヨーロッパ国家としてのトルコ」というアタチュルクの夢がついに実現する。だが、ヨーロッパがトルコを受け入れることを拒絶すれば、トルコ国内で欧米に対する反動が起き、ウルトラナショナリストや宗教的過激派が勢いづき、この国の自由化、民主化、非軍事化路線が覆されるかもしれない。文化的にも地理的にも東と西の十字路に位置するトルコの国内政治の展開、そしてトルコのEU加盟問題にヨーロッパがどう対応するかは、今後の西洋とイスラムの関係に大きな影響を与えることになる。

次期大統領の外交課題

2004年9月号

司会     
リチャード・ハース/米外交問題評議会会長
スピーカー  
ベン・ステイル/米外交問題評議会シニア・フェロー  
グレアム・アリソン/ハーバード大学教授  
ジョセフ・ナイ/ハーバード大学教授  
エリザベス・エコノミー/米外交問題評議会シニア・フェロー

核武装のドミノ倒しが起きる?

リチャード・ハース まず、簡単にスピーカーの紹介を。 ……

 まずハーバード大学のグレアム・アリソン(Graham Allison)から。彼は、ケネディ・スクールの学院長を経て、クリントン政権の国防次官補として、ロシア、旧ソビエトへの政策を担当した。著書にキューバ危機を描いた『決定の本質』(中央公論新社、一九七七)などがある。

 さて、ブッシュ政権の先制攻撃ドクトリン、つまり、学会ではこれまで予防攻撃と呼ばれてきた戦略ドクトリンはかなりの論争を呼んだ。ブッシュとケリーのどちらが選ばれるにせよ、次期大統領は、今後イランや北朝鮮の核拡散の脅威に直面させられることになる。イラクをめぐって大きな論争が起きたとはいえ、ブッシュ、あるいはケリーは、大統領としてこのような脅威に現実に直面した場合、先制攻撃を検討せざるを得ないだろうか。

グレアム・アリソン そうなると思う。イラクに関してブッシュ大統領が必要なら単独でも武力行使を辞さないという姿勢を貫いたこと自体に問題はないと私は考えている。ブッシュ大統領はわれわれが直面している最大の脅威はテロリストが大量破壊兵器(WMD)を入手することだと語っているし、ケリー候補も同じ見方をしている。ブッシュはテロリストとWMDのつながりを問題にして、イラクとの戦争を開始した。問題はターゲットが違っていたことだ。

 イラクではなく、北朝鮮のほうが深刻な脅威だった。北朝鮮は核燃料の再処理を行い、さらに六個の核兵器を生産できるプルトニウムを保有している。北朝鮮が核兵器や核物質を輸出できるはずはないと考える者は、リビアに何を提供していたかを考えるべきだろう。北朝鮮はリビアに核兵器一個を十分に生産できる核物質を輸出していた。……

*邦訳文は、二〇〇四年七月下旬にボストンのハーバード・クラブで行われた米外交問題評議会ミーティングでの発言からの抜粋・要約。発言や質疑応答の順序を入れ替えている部分がある。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

「民主国家中国」の幻の遺産

2004年9月号

オービル・シェル/カリフォルニア大学教授

1890年代の清朝末期以降、中国は政治論争のなかにあった。康有為、厳復、梁啓超などの知識人たちは、自分たちの国が列強の葦刈り場とされるのを避けるには、西洋の思想に中国の伝統を接ぎ木して民主主義を導入すべきだと考えていた。社会的開放と民主主義への道筋を描き、それを中国語で明快に表現していたこうした知識人たちは民主国家中国の「幻の建国の父」である。市場経済と共産党の支配体制が社会に亀裂を生じさせているいま、現代の中国の知識人たちは彼らの思想を思い出し、この幻の民主的伝統を今後の路線に生かすべきではないか。

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