1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

論文データベース(最新論文順)

第二期ブッシュ政権の大戦略を検証する
――「現状」の破壊から新秩序の構築へ

2005年1月号

ジョン・ルイス・ギャディス/エール大学歴史学教授

ブッシュ大統領は、9・11によってアメリカが受けた衝撃を、「衝撃と恐怖」作戦を通じて、テロ実行犯がやってきた世界だけでなく、国際システム全体に与えて認識させ、「現状を根底から揺るがす必要がある」と考えたようだ。だが、その後の秩序が自律的に再編されていくと考えたのが大きな間違いだった。鉄血宰相と恐れられたビスマルクが、旧秩序を破壊した後に、誠実な仲介者としてヨーロッパ秩序をつくり上げていったように、ブッシュは自らの大戦略について国際社会を「説得」し、テロ時代における国民国家システムを他の諸国とともに守っていかなければならない。

米外交問題評議会インタビュー
アラファトとアッバス

2004年12月号

ヘンリー・シーグマン/米外交問題評議会シニア・フェロー

穏健派のマフムード・アッバスがパレスチナの新指導層の中核を担い、これまでアラファトとの交渉を拒絶してきたアメリカとイスラエルが新状況を前に考えを改めれば、中東和平交渉再開への道も開けてくる、とヘンリー・シーグマン(米外交問題評議会シニア・フェロー)は語る。アラファトの妨害だけではなく、イスラエルの非協力的な態度が、かつて自治政府首相としてのアッバスを追い込んだと分析するシーグマンは、今後のアッバスの成功はシャロン・イスラエル首相の態度に左右され、シャロンの路線はアメリカがイスラエルにどう働きかけるかに左右されると分析する。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。邦訳文は英文からの抜粋。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

国連改革報告書とアメリカの利益

2004年12月号

ブレント・スコークロフト/スコークロフト・グループ会長

国連改革に関するハイレベル委員会の報告書は「テロリズムの定義を試み、・・・大量破壊兵器(WMD)拡散問題を取り上げ、それを阻止するために何が必要かについても分析している」。ハイレベル委員会のメンバーを務めたブレント・スコークロフトは、同報告書は「自己防衛と先制攻撃に関してもこれまでよりも幅を持たせた解釈を示しており、アメリカの国益に合致するような提言が多くなされている」と分析し、国連とアメリカの共生、アメリカとヨーロッパの協調を促した。また、国家安全保障問題担当大統領補佐官として、コンドリーザ・ライスを最初に政府ポストに登用したスコークロフトは、国務長官の任務は政策立案だけでなく、「相手国の市民に耳を傾けてもらい、われわれの立場への理解と支持を引き出す」ことにあり、大統領補佐官から国務長官への転身はそう簡単でない、と語った。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティングエディター)。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

国連改革提言の本当の意味
――安保理拡大は争点ではない

2004年12月号

リー・フェインシュタイン/米外交問題評議会研究副部長

「多くの人は、今回のハイレベル委員会の提言を国連改革に関するリポートだったと思っているが、実際には、そうではない。冷戦終結と9・11を経た世界、さらには、イラク戦争をめぐる安全保障理事会の分裂という事態を受けての総括、提言と考えたほうがよい」。リー・フェインシュタイン(米外交問題評議会研究副部長)は「安保理をそのまま拡大させることなど、最初から実現しないことがわかりきった課題にすぎない」と指摘し、むしろ、今回の提言とブッシュ政権の国家安全保障戦略が収斂しつつあることに注目する。聞き手はバーナード・ガーズマン

欧州はアメリカのパートナーかライバルか
――欧州憲法条約は何を意味するか

2004年12月号

ジェフリー・シンバロ/ウェイル・ゴットシャル&マンジェス法律事務所アソシエート

欧州憲法条約は、北大西洋条約機構(NATO)が欧州連合(EU)の安全保障にとって最終的には必要ではなくなると想定しており、仏独が主導するEUが、欧州からのNATO外し、アメリカ外しをねらっていることは明らかだ。統合ヨーロッパはアメリカのパワーを補完するのではなく、アメリカに対するバランスをとろうとしている。ワシントンは、EU内に新しいパートナーを見いだし、アメリカへの対抗軸を担おうとするEUへの牽制策をとるべきだろう。

分裂するヨーロッパ
――ドゴール主義と大西洋主義

2004年12月号

スピーカー
ティモシー・ガートン・アッシュ/オックスフォード大学欧州研究所ディレクター
司会
エリザベス・D・シャーウッド=ランダル/米外交問題評議会準シニア・フェロー

「今回のアメリカでの選挙戦からも明らかなように、アメリカ社会は価値や外交路線をめぐって深く分裂している。一方でヨーロッパでも私が『この十年における大論争』と呼ぶ分裂が起きている。イギリスのトニー・ブレア首相に代表されるヨーロッパの大西洋主義者は、アメリカのパートナーとしての統一された強いヨーロッパが必要だと考え、一方で、フランスのシラク大統領に代表されるヨーロッパのドゴール主義者は、『アメリカのライバル』としてヨーロッパを統合・強化して、二極世界をつくる必要があると考えている。これは新しいヨーロッパと古いヨーロッパの対立ではない。ヨーロッパの大西洋主義者とドゴール主義者の対立だ(訳注:大西洋主義とは簡単に言えば米欧協調主義のことで、ドゴール主義とは超大国に対抗するヨーロッパ中心主義と言い換えることもできる)」(アッシュ)。 邦訳文はニューヨークの米外交問題評議会で開かれたミーティング・プログラムからの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

アメリカの覇権と世界
――覇権国は帝国の歴史から何を学ぶべきか

2004年12月号

エリオット・コーエン/ジョンズ・ホプキンス大学教授

「帝国の時代」は終焉を迎えたかもしれないが、その後、アメリカ覇権の時代が始まった。帝国、あるいは帝国に似た存在であれば、妬まれ、憤慨され、疑われ、信頼されず、往々にして憎しみの対象とされるのは避けられない。現在の国際政治も、アメリカの優位とそれに対する反発で規定されている。だが、勢力均衡がいまに復活することはあり得ず、国連もうまく世界の問題を解決できてはいない。覇権国アメリカは、帝国の歴史が教える叡智に学びながら、混沌を回避するために世界に介入せざるを得ない。

技術革新の拠点としてアジアに目を向けよ

2004年11月号

アダム・シーガル 米外交問題評議会シニア・フ ェ ロー

アメリカの技術関連企業が進出し、現地に研究所が設立されると、アメリカに留学して訓練を受けていた科学や工学系の研究者たちが続々とアジアの母国へと帰国し始め、こうした技術拠点でも独自に技術開発が試みられるようになった。将来の技術革新に必要なアイデア、才能、資本が集積している技術拠点はもはやシリコンバレーだけではない。それは、中国、台湾、インドにも存在する。

核によるテロの脅威は実存するのか

2004年11月号

スピーカー
グレアム・アリソン/ ハーバード大学教授
聞き手
ロバート・ガルーチ/ジョージタウン大学外交大学院院長

「いつ、どこで、誰が、どのように核テロを起こすかを検討すると、核によるテロが起きるのは必然だとさえ考えるようになった。なぜそのような事態が起きるかよりも、なぜいまのところ起きていないかのほうが不思議なほどだ」(アリソン)。 (邦訳文は二〇〇四年秋にニューヨークの米外交問題評議会で開かれたミーティング・プログラムからの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる)

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