人から人へと感染する鳥インフルエンザの猛威を前にすれば、隔離政策をとり、国境線や空港を閉鎖する国も出てくるだろう。国境線を超えた貿易と人の流れは滞り、経済の生産性は低下し、株価が暴落する恐れもある。グローバルな安全保障体制も脅かされる。鳥インフルエンザに兵士や警官が感染すれば、各国、世界の治安と安全保障は大きく損なわれる。そう遠くない未来に、変異を重ねる鳥インフルエンザウイルスによって、この悪夢のようなシナリオが現実となりかねないことを示唆する科学的証拠が出そろいつつある。外交政策、国家安全保障に責任を負う人々に、この警告を無視できるような余裕はないだろう。