1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

論文データベース(最新論文順)

ネパールの大いなる危機
――紛争のなかに取り残された民衆たち

2005年10月号

ブラッド・アダムス/ヒューマン・ライツ・ウォッチ・アジアディレクター

ネパール人の多くは、もうどうにもならないと感じている。毛沢東主義派に食料や隠れ家を提供することを拒むと「階級の敵」「反動分子」として処刑され、たとえ不本意であったとしても食料や隠れ家を提供すると今度はネパール国軍に毛沢東主義派との共謀の罪に問われる。国軍は、毛沢東主義派と、何とか生き延びようとしただけの民衆(同上)を区別できないし、区別しようとさえ試みない。いまやネパールは国家崩壊の瀬戸際まで追い込まれている。

現在の中国を理解するには
――屈辱の歴史の重荷と共産党の変革

2005年9月号

キショール・マブバニ/リー・クアンユー行政大学院院長

北京にとって、中国の台頭は、かつては列強の草刈り場とされ、内戦に苦しんだ1世紀に及ぶ国内的変動の時代についに終止符が打たれたことを意味する。先進国が形づくる近代世界に仲間入りを果たせるいま一歩のところまでついにやってきたと彼らは感じている。一方、アメリカの政策決定者たちは、中国共産党が大きな自己変革を成し遂げていることに気づかずに、現在の中国政府は共産主義時代の名残をとどめる古い体質をもっていると否定的に考え、中国の台頭を危険視している。

Classic Selection 2005
平和的台頭への道筋

2005年9月号

鄭必堅/中国改革フォーラム理事長

中国政府は2050年までに、民主的で経済的に繁栄する文化的な社会主義国家となるための開発戦略をすでに書き上げており、この時期までに先進世界における中レベルの国家となれば、「平和的な台頭」に成功したことになる。その過程で、時代遅れの社会管理政策を変化させて、「調和的な社会主義社会」を建設することを目的にしている。中国は民主的制度と法の支配を強め、精神文明に基づく安定した社会を構築しようと試みている。

中国は安定した対米関係を望む

2005年9月号

王緝思/北京大学国際関係研究所所長

中米関係の改善は今後もゆっくりとしたペースでしか進まないだろうし、そのプロセスは苦渋に満ち、限定的で条件に縛られるだろう。台湾の独立宣言といった挑発があれば、改善の流れが覆されることもあるだろう。だからこそ、両国間に横たわる刺のある問題を慎重に扱う必要があるし、諸問題が、繁栄する社会を構築するのに適した好ましい国際環境を崩壊させるのを回避するため、安定した新枠組みを確立する必要がある。

エネルギー調達戦略の世界的波紋

2005年9月号

デービッド・ツバイク 香港科学技術大学中国多国間関係 (トランスナショナル)センター所長、畢建海 同センター研究員

グローバルな規範を愚弄する世界のはぐれ者やならず者国家を、自らの経済成長という大義名分のもとに支援しているようでは、中国は世界に愛される国にはなれない。しかし、エネルギー供給を拡大しないことには、北京が政府としての責任を果たせないことをワシントンは理解しなければならない。アメリカは中国と協調することを学び、中国を世界経済に組み込む努力を続け、北京は、優れた統治と人権の尊重に関する国際ルール、さらにはアメリカの安全保障利益を損なわないような対外関係の構築を心がける必要がある。

Classic Selection 2005
CFR Interview
H・キッシンジャーが分析する中国の台頭

2005年8月号

ヘンリー・キッシンジャー
キッシンジャー・アソシエーツ会長

「私はアジアにおける新しい秩序の均衡が必要だとみているし、この均衡の一翼をアメリカが担いたいのなら、対中冷戦を再現するのではなく、協調路線をとるほうが賢明だろう。……ワシントンが中国の台頭のペースを弱めるような措置をとれば、中国人はアメリカのことを自分たちの国家目標を実現する上で最大の障害とみなすようになる。アメリカはこのようなリスクをあえて引き受けるのか。……中国はいずれアジアにおける大国になる。そして、世界政治の重心は大西洋から太平洋へとシフトしていく。これが現実だ」。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。邦訳文は英文からの抜粋、全文はwww.cfr.orgからアクセスできる。

新型インフルエンザへの対策づくりを急げ

2005年8月号

マイケル・T・オスタホルム
米感染症研究対策センター(CIDRAP)所長

H5N1ウイルスの脅威への市民の無関心が、恐怖へと変わってから予防策や管理策を実施しても意味はない。世界で「1億8000万~3億6000万人」が犠牲になる恐れのある新型インフルエンザが猛威を振るいだすのが今夜なのか、1年後なのか、10年後なのかはわからない。だが、その日は間違いなく近づいてきている。新型インフルエンザの大流行そのものを回避することはできないが、その衝撃を緩和することならできる。われわれは歴史的に重大な岐路に立たされており、断固たる決意と目的をもって今行動を起こす必要がある。

ヨーロッパで誕生する新ジハードの戦士

2005年8月号

ロバート・S・レイケン ニクソン・センター・移民・国家安全保障プログラムディレクター

アルカイダがテロ要員のリクルートの標的にしているのは、ヨーロッパのイスラム系移民の二世たちだ。ヨーロッパのカフェ、簡易礼拝堂、イスラム系書店、刑務所、学校でのイスラム過激派との出会いによって、イスラム系移民の子どもたちが感化され、西洋に対するイスラム聖戦へと身を投じている。すでにオサマ・ビンラディンはヨーロッパ内の数多くのテロネットワークに戦略的指針を与え、活動を鼓舞している。こうしたテロネットワークは特定の任務のために集合し、プロのテロリストと訓練生のなかから実行グループを編成してテロを遂行し、その後解散しては新たな任務の下に再結成するというパターンを繰り返している。

鳥インフルエンザが人類社会を襲う?
――H5N1ウイルスの脅威にどう対処するか

2005年7月号

ローリー・ギャレット/米外交問題評議会シニア・フェロー

人から人へと感染する鳥インフルエンザの猛威を前にすれば、隔離政策をとり、国境線や空港を閉鎖する国も出てくるだろう。国境線を超えた貿易と人の流れは滞り、経済の生産性は低下し、株価が暴落する恐れもある。グローバルな安全保障体制も脅かされる。鳥インフルエンザに兵士や警官が感染すれば、各国、世界の治安と安全保障は大きく損なわれる。そう遠くない未来に、変異を重ねる鳥インフルエンザウイルスによって、この悪夢のようなシナリオが現実となりかねないことを示唆する科学的証拠が出そろいつつある。外交政策、国家安全保障に責任を負う人々に、この警告を無視できるような余裕はないだろう。

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