1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

論文データベース(最新論文順)

同時多発的な石油供給の混乱に備えよ  
――ベネズエラ石油危機の教訓

2004年10月号

ミシェル・ビリッグ/前米外交問題評議会国際関係フェロー

サウジアラビアの石油輸送の拠点が攻撃され、イラクの武装蜂起がさらに激化し、ナイジェリアで民族浄化が起き、旧ソビエトのチェチェン人分離勢力が破壊工作活動を行い、ベネズエラが禁輸策をとれば、世界の石油の供給はどうなるだろうか。非常事態に備えた、多層的な供給ラインの整備が必要である。

テロとイラクにどう対処する

2004年10月号

司会
リチャード・ハース/米外交問題評議会会長
パネリスト
マックス・ブート/米外交問題評議会シニア・フェロー
エリザベス・エコノミー/米外交問題評議会シニア・フェロー
ステファン・フリン/米外交問題評議会シニア・フェロー
ベン・ステイル/米外交問題評議会シニア・フェロー

経済問題よりも外交、安全保障問題が重視される二〇〇四年の米大統領選挙で問われる課題は何か。イラク戦争の結末はどうなるのか、テロとの闘いに勝利できるのか、中国の台頭は脅威か、国際協調と単独行動のバランスをどうとるのか。邦訳文は次期大統領の外交課題に関する討論会からの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

大量破壊兵器開発を阻止するには

2004年10月号

アシュトン・カーター/クリントン政権国防次官補

現在の技術では、大量破壊兵器(WMD)開発に関する情報の収集・分析は完全なものではなく、テロに対する防衛同様に、WMDに対する防衛も複層的なものとならざるを得ない。核分裂物質がテロリストの手に渡らないようにし、生物兵器テロの被害を最小限に抑え込めるような公衆衛生体制をつくり、核不拡散条約(NPT)の抜け穴を埋め、WMD関連情報の収集と分析の質を高める必要がある。

新大統領が直面する外交課題は何か  
――イラクの戦後復興、核不拡散、中国

2004年10月号

フォーリン・アフェアーズ・ジャパン・ブリーフィング

―― 新大統領の外交アジェンダ 新大統領の主要な外交課題は何か?

専門家の多くは、イラクとアフガニスタンの戦後復興、イラン、北朝鮮を中心とする核拡散問題、テロとの戦い、本土防衛、そして台頭する中国との穏やかな関係の構築を今後のアメリカの大きな課題とみなしている。

ハーバード大学のジョセフ・ナイは、新大統領の課題について次のように語っている。「最優先の課題は、テロと大量破壊兵器(WMD)の脅威への対応だ。第二の課題は、世界におけるアメリカの名声と信頼を再生すること。第三の課題は、中国の台頭にどう対処し、東アジアの安定をどう図っていくかだ」。

トルコはヨーロッパの一部になれるか

2004年10月号

デビッド・フィリップス/米外交問題評議会シニア・フェロー

欧州連合(EU)への加盟が実現すれば、トルコはもっと欧米に近づき、「近代的なヨーロッパ国家としてのトルコ」というアタチュルクの夢がついに実現する。だが、ヨーロッパがトルコを受け入れることを拒絶すれば、トルコ国内で欧米に対する反動が起き、ウルトラナショナリストや宗教的過激派が勢いづき、この国の自由化、民主化、非軍事化路線が覆されるかもしれない。文化的にも地理的にも東と西の十字路に位置するトルコの国内政治の展開、そしてトルコのEU加盟問題にヨーロッパがどう対応するかは、今後の西洋とイスラムの関係に大きな影響を与えることになる。

次期大統領の外交課題

2004年9月号

司会     
リチャード・ハース/米外交問題評議会会長
スピーカー  
ベン・ステイル/米外交問題評議会シニア・フェロー  
グレアム・アリソン/ハーバード大学教授  
ジョセフ・ナイ/ハーバード大学教授  
エリザベス・エコノミー/米外交問題評議会シニア・フェロー

核武装のドミノ倒しが起きる?

リチャード・ハース まず、簡単にスピーカーの紹介を。 ……

 まずハーバード大学のグレアム・アリソン(Graham Allison)から。彼は、ケネディ・スクールの学院長を経て、クリントン政権の国防次官補として、ロシア、旧ソビエトへの政策を担当した。著書にキューバ危機を描いた『決定の本質』(中央公論新社、一九七七)などがある。

 さて、ブッシュ政権の先制攻撃ドクトリン、つまり、学会ではこれまで予防攻撃と呼ばれてきた戦略ドクトリンはかなりの論争を呼んだ。ブッシュとケリーのどちらが選ばれるにせよ、次期大統領は、今後イランや北朝鮮の核拡散の脅威に直面させられることになる。イラクをめぐって大きな論争が起きたとはいえ、ブッシュ、あるいはケリーは、大統領としてこのような脅威に現実に直面した場合、先制攻撃を検討せざるを得ないだろうか。

グレアム・アリソン そうなると思う。イラクに関してブッシュ大統領が必要なら単独でも武力行使を辞さないという姿勢を貫いたこと自体に問題はないと私は考えている。ブッシュ大統領はわれわれが直面している最大の脅威はテロリストが大量破壊兵器(WMD)を入手することだと語っているし、ケリー候補も同じ見方をしている。ブッシュはテロリストとWMDのつながりを問題にして、イラクとの戦争を開始した。問題はターゲットが違っていたことだ。

 イラクではなく、北朝鮮のほうが深刻な脅威だった。北朝鮮は核燃料の再処理を行い、さらに六個の核兵器を生産できるプルトニウムを保有している。北朝鮮が核兵器や核物質を輸出できるはずはないと考える者は、リビアに何を提供していたかを考えるべきだろう。北朝鮮はリビアに核兵器一個を十分に生産できる核物質を輸出していた。……

*邦訳文は、二〇〇四年七月下旬にボストンのハーバード・クラブで行われた米外交問題評議会ミーティングでの発言からの抜粋・要約。発言や質疑応答の順序を入れ替えている部分がある。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

「民主国家中国」の幻の遺産

2004年9月号

オービル・シェル/カリフォルニア大学教授

1890年代の清朝末期以降、中国は政治論争のなかにあった。康有為、厳復、梁啓超などの知識人たちは、自分たちの国が列強の葦刈り場とされるのを避けるには、西洋の思想に中国の伝統を接ぎ木して民主主義を導入すべきだと考えていた。社会的開放と民主主義への道筋を描き、それを中国語で明快に表現していたこうした知識人たちは民主国家中国の「幻の建国の父」である。市場経済と共産党の支配体制が社会に亀裂を生じさせているいま、現代の中国の知識人たちは彼らの思想を思い出し、この幻の民主的伝統を今後の路線に生かすべきではないか。

「中国経済の奇跡」という虚構

2004年9月号

ジョージ・ギルボーイ/MIT国際研究センター研究員

中国をアジアにおける新たな技術・経済「大国」とみなすよりも、普通の新興経済国家とみなすほうが適切である。中国の産業の多くは国有企業と「支配的な影響力を確立しつつある外資系企業」によって構成されており、中国の民間企業はいまも国有企業、外資系企業と競争していく力を確立できていない。

近代化を成し遂げる最終段階になって、産業の分断状況と権威主義的支配という重荷がのしかかってきているというのが中国の現実であり、政治改革を断行しないことには、さらなる発展を阻む閉塞的な中国のビジネス文化を変えていくことはできない。

イラク占領の何が問題だったのか
――CPA顧問が振り返る占領の真相

2004年9月号

ラリー・ダイヤモンド/前暫定占領当局(CPA)上席顧問

「国家が崩壊している戦後の環境にあっては、治安の安定が何にもまして重要になる。治安こそ、その他の社会活動のすべてを支える基本である。最低限の治安がなければ、貿易も商業もできないし、社会を組織して再編することもできない。ましてや市民が政治に参加することもない。治安が確保されていなければ、そこにあるのは混乱、不信、絶望だけだ。ベトナムの時と同様に、ワシントンはいまにも風向きが変わると考え続け、民衆の不満の深さを理解しようとしなかった」

イラク戦争とジョージ・ブッシュ

2004年8月号

ボブ・ウッドワード/ワシントン・ポスト紙編集局次長
ニコラス・レマン/コロンビア大学ジャーナリズム学部長

「私はこれまでつくってきた人脈をたどり(イラク戦争に関する)情報メモをつくった。閣僚や政府高官からも情報を得た。そして最終的にこれらイラク戦争に関する情報を二十一ページのメモにまとめ、これが私なりに考える『これまでに起きた経緯、あなたが決断を下した重要なターニングポイントです』と書き添えてブッシュ大統領に送った。すると、コンドリーザ・ライスが『(大統領のインタビューをとれようが、とれまいが)この本を書くつもりですね』と言ってきた。私は『そのつもりだ』と答えた」

邦訳文は、ブッシュ大統領のインタビューを軸にイラク戦争を検証した『攻撃計画』を出版したボブ・ウッドワードを迎えて、二〇〇四年六月に米外交問題評議会で開かれたミーティング・プログラム議事録からの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

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