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論文データベース(最新論文順)

アメリカはアジアの台頭にうまく対応できるのか
――問題をつくりだしているのは欧米世界ではないか

2008年4月号

スピーカー
キショール・マブバニ/国立シンガポール大学公共政策大学院長
司会
エレン・L・フロースト/ピーターソン国際経済研究所客員研究員

いまや誰もがアジアをはっきりとしたモデルとみなしている。そしてアジアにおける新しいストーリーとは、アジアが一つにまとまりつつあることだ。人の自由な流れがアジアでは起きている。……新しいアジアの形成は、世界にとって大きな貢献となる。その理由は、これが、安定した世界秩序に利益を見いだし、グローバル秩序の混乱を望まず、西洋と協調したいと望む責任ある利害共有者を大幅に増やしていることを意味するからだ。……若いイスラム教徒たちにとっては、「西洋を模範とする道を歩むか、それともオサマ・ビンラディンに従うか」しか道はなかったが、いまでは、「自分たちも中国やインドに続こう」と考えだしている。

コペンハーゲン・コンセンサス
――デンマークでアダム・スミスを読む

2008年4月号

ロバート・カットナー
アメリカン・プロスペクト誌共同編集長

現在のデンマークモデルの中核は、労働市場の柔軟性(フレキシビリティー)と雇用保障(ジョブ・セキュリティー)のバランスをうまく組み合わせた「フレキシキュリティー」という概念、つまり、労働市場の柔軟性と雇用保障を両立させていることにある。労使協調路線がとられ、極端に高い課税率も結局は、社会サービスとして市民に還元されている。世界でもっとも平等で社会格差が小さく、それでもきわめてリバタリアンな思想を持つこの国は、どのようにして平等と効率、社会的正義と自由貿易を両立させているのか。グローバル化がつくりだす問題に対処するために、資本主義国がデンマークモデルを取り入れる余地はあるのか。

CFRディベート
変化するグローバルパワーの
ダイナミクスにどう対応するのか
 ――米欧中のG3か、それとも「鍵を握る5カ国」との協調か

2008年4月号

ニーナ・L・ハチジャン  センター・フォー・アメリカン・プログレス上席副会長
パラグ・カーンナ  ニューアメリカ財団シニア・リサーチフェロー

安定した秩序を求める中国、インド、ロシア、EU(欧州連合)、日本は、われわれ同様に、テロリスト、地球温暖化、疾病・感染症、核拡散という脅威に対処していかなければならないと考えている。各国が力を合わせない限り、こうしたグローバル化がつくりだした負の側面に対処していくことはできない。(N・ハチジャン)

 対テロ作戦、紛争後の安定化、地球温暖化、開発政策、核拡散、問題国家などのトランスナショナルな対応を要する政策領域については、アメリカ、EU、中国が、G3の協議プロセスを立ち上げ、共有できるルールと規範をともに形作っていくことを提言したい。(P・カーンナ)

CFRインタビュー
動き出したイラクの
政治プロセスと米軍撤退の行方

2008年3月号

ダニエル・P・サーワー 米平和研究所紛争後平和構築・安定化センター副所長

イラクの治安情勢が改善しつつあるのに、政治プロセスが完全に麻痺していると長く言われてきた。だが、イラク研究グループの統括議長を務めたダニエル・サーワーは、「これまで完全な膠着状態にあったイラクの政治状況がしだいに動き出している」と指摘する。「イラク議会は政治的に妥協することを学びつつあるし、しかも、妥協プロセスにおいて各派は憲法を幾度となく引き合いにだして自分の立場を主張するようになった」と。
 政治プロセスが動き出した理由として、サーワーは「スンニ派、シーア派といった宗派主義では民衆は救えない」ことが認識されだし、2008年に選挙が予定されている州評議会が政治的に機能しだしたこと」を挙げている。
 米軍の撤退については「2009年1月の時点で、駐留米軍の兵力は13万前後のはずだし、米軍のプレゼンスを維持せざるを得ないという現実におそらく新大統領は直面する」と今後を予測するサーワーは、「秩序だった形で撤退を進めるには、数年という時間枠が必要になる。この数年間のどこかの段階で、残留戦力をどのくらいにし、米軍にどのような任務を課すかを見直さなければならない」とコメントした。
 聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

CFRインタビュー
馬英九総統の誕生で
中台関係はどう変わるか

2008年3月号

アラン・D・ロンバーグ
ヘンリー・スティムソセンター東アジア研究ディレクター

次期台湾総統に選ばれた馬英九は、かなり早い段階で、中国との経済合意を結びたいと考えているし、すでに運行されている中台間のチャーター便の数を増やし、定期便も就航させたいと考えている。そして時間をかけて、彼が「生活様式」と呼ぶ和平協定に向けた了解をとりまとめ、台湾の国際社会への参加に向けた道を開きたいと考えている。
 馬英九の対中路線をこう予測するアジア問題の専門家、アラン・ロンバーグは、「一つの中国」の解釈をめぐって馬と北京の間には意見の違いがあるが、馬も北京も、それはそれで現状として受け止め、状況を先へと進めようとするだろうとみる。「中国はこれまでの台湾との対決的ムードを早く変えたいと望んでおり、「一つの中国」という概念を箱に押し込んで、台湾民衆の人心を勝ち取れるような関係を築き、経済開発に専念したいと考えている」。

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