アメリカの国益を再考する
――新しい世界とアメリカ特有のリアリズム
2008年6月号
イランは特有な課題を突きつけている。テヘランは、革命防衛隊やアルクッズ旅団などの国家的な軍事ツール、そしてイラクのマフディ軍団、ガザのハマス、レバノンその他でのヒズボラといったイランのパワーを拡大するための非国家型の傀儡勢力の双方を動員して、破壊的な路線を模索している。
イラン政府は他の政府の転覆工作を試み、ペルシャ湾岸、中東全域に影響力を拡大しようとしている。イスラエル国家の存続を脅かし、アメリカを不倶戴天の敵とみなし、イラクを不安定化させ、米軍を脅かし、罪のないイラク人を殺している。アメリカはこうしたイランの挑発行為に対抗している。イランが核武装するか、核開発能力を手にすれば、それが、国際的な平和と安定にとっての大きな脅威となることははっきりとしている。
だがイランにはこれとは違う側面もみられる。偉大なペルシャ文化、そして抑圧のなかで苦しむ偉大な市民を擁している。イランの人々は国際社会に参加し、自由に旅行し、世界の最高レベルの大学で教育を受ける資格を持っている。すでにアメリカは、スポーツ、復興支援、芸術などの領域では市民レベルでイランの人々と交流している。
多くの民間領域ですでにイラン人は、アメリカ人、そしてアメリカという国との交流に前向きになっており、今後、アメリカとイランの国家レベルでの関係も変化していく可能性もある。イラン政府が国連安保理の要請を受け入れ、ウラン濃縮その他の核関連活動を停止すれば、アメリカを含む国際社会は、われわれの前にあるすべての問題についてイランと話し合う用意がある。イランにとってアメリカが永遠に不倶戴天の敵というわけではない・・・
