米印関係は反中同盟の布石なのか
――台頭するインドとバランス・オブ・パワー
2006年9月号
![](https://www.foreignaffairsj.co.jp/cms/wp-content/uploads/2006/09/shutterstock_442754140-260x174.jpg)
インドは、米中間の中立を維持しようとするだろうか、それとも現在のインドの大戦略に即してアメリカの側につくだろうか。米印原子力合意は、この設問への最終的な答えを左右しようとするアメリカの試みだった。インドはアジアやインド洋地域で、中国の2番手に甘んじることだけは避けたいと考えているし、むしろ遠く離れた超大国との協調に安定的な利益を見いだしている。ワシントンとの安全保障関係の強化を望むのは、こうした構造的な理由がある。だが、利益を共有しているからといって、それだけで同盟関係が成立するわけではない。両国間のパワーに格差があり、政治的協調の歴史がなく、より踏み込んだ米印の協調に抵抗する官僚が両国に存在する以上、米印の戦略的な協調関係の進化のペースと、規模の広がりは段階的なものになる。