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論文データベース(最新論文順)

自由に基づく恒久平和を
――民主国家の連帯を軸とするパートナーシップを

2007年12月号

ジョン・マケイン/米共和党予備選大統領候補

アメリカは冷戦期に西側を団結させた民主国家の連帯を復活させなければならない。アメリカだけで、自由に基づく恒久平和を実現することはできない。民主的な同盟国の意見に耳を傾けなければならない。……民主国家を「民主国家連盟」という一つの機構のもとに連帯させ、立場を共有する諸国が平和と自由のために協力するこの連盟が、国連がうまく対応できないような案件に対処していくようにする。私が大統領になれば就任1年目に、世界の民主国家の指導者とのサミットを開き、指導者たちとの意見交換をし、このビジョンを実現するために必要な措置を模索していく。(この文脈において)G8を……市場経済と民主主義を実践する主要国だけのクラブにする必要があり、ロシアを排除して、新たにブラジルとインドを参加させるべきだ。……一方、大統領として私は、オーストラリア、インド、日本、アメリカによるアジア太平洋地域の主要な民主国家による4国間安全保障パートナーシップの制度化を模索していく。……私は、日本が国際的なパワーになることを歓迎するし、見事なビジョンである「価値外交」を支援するとともに、日本が願っている国連安保理の常任理事国入りも支持する。

なぜアメリカはインドとの関係改善を決断したか
――米印原子力協力協定の真意

2007年12月号

R・ニコラス・バーンズ/米国務省政治担当国務次官

「2001年に大統領に就任したジョージ・ブッシュは、当初から国際政治におけるインドの民主主義のパワーと重要性に注目し、アメリカのインドとの戦略関係を構築することに向けて、大きな政治資源を投入し……過去30年にわたって関係を冷え込ませてきた核拡散問題に取り組む勇気と先見性を示した。アメリカは核不拡散原則からみて問題のあるインドの核拡散(核保有)を既成事実として受け入れ、インドのエネルギー需要を満たすための原子力発電については全面的に協力することを約束した。……世界最古の民主国家が、ついに世界最大の民主国家を最も親しいパートナーと呼ぶときが来た。アメリカはインドに手を差し伸べることによって、地球の未来が不寛容、専制政治、計画経済ではなく、多元主義、民主主義、市場経済によって規定されるようになることを願っている」

Classic Selection
それでも21世紀は民主主義の時代になる
――民主化に不可欠な信頼と妥協を育む市場経済

2007年12月号

マイケル・マンデルバーム   ジョンズ・ホプキンス大学教授

市場経済を機能させるのに必要な制度、知識、価値観は、民主主義を実現するうえで必要になる制度、知識、価値観と重なりあう。こうして民主主義は市場の働きを通じて広まることになる。市場経済が民主主義を育んでいくのは、市場経済の前提となる財産権の保障が自由の一部を構成しているからだ。もっとも重要なのは、市場経済のもとで、企業、労働組合、専門家協会、有志クラブなど、政府から独立した団体が多数誕生することだ。非民主国家が経済成長を実現するために市場経済体制を導入すれば、民主化圧力は必ず高まっていくし、経済成長は、将来にわたってあらゆる国の政府が追求する目標であり続ける。しかし、アメリカの政策でそれを左右するのは難しいし、アラブ世界、ロシア、中国が今後民主化していくかどうかは、予断を許さない状態にある。

アジアの安定と平和を維持するには
――多国間フォーラムと自由貿易構想の価値に目を向けよ

2007年11月号

ビクター・D・チャ/前米国家安全保障会議アジア部長

歴史的にみても、アメリカが中国を封じ込めようと日本との関係を強化したり、古くからの同盟諸国や小規模な地域国家に配慮せずに中国との関係強化を模索したりすると、アジアの秩序は常に緊張したものだ。だが今日の状況は、米中が協調関係にあり、日米同盟は堅固な基盤を共有し、日本と中国の関係も改善に向かっている。そこには、見事な勢力均衡が成立している。もちろん、北朝鮮問題が残されており、いかなる政権がワシントンに誕生しようと、核武装した北朝鮮との外交関係の正常化に応じたり、平和条約を結んだりすることはあり得ない。一方、平壌が本気で核を放棄するつもりなら、6者協議は2008年には核の解体という最終局面に進む。今後必要になるアジアの安全保障構造を形作るには、アメリカは、東南アジア諸国へのさらなる関与を行い、2国間関係を強化するとともに、北東アジアでの多国間安全保障フォーラムを構築し、相互に関連する2国間、3国間、多国間の制度ネットワークを形成しなければならない。

CFRディベート
原子力エネルギーは地球温暖化対策の切り札になるか

2007年11月号

マイケル・マリオット 原子力情報資源サービス所長
スティーブ・ケレケス 原子力エネルギー研究所広報部シニア・ディレクター

環境保護派の多くにとって、原子力発電という言葉はいまも呪いの言葉に等しい。彼らの多くは、原子力発電所が環境に与えるダメージをいまも心配している。だがここにきて、地球温暖化対策という新しい基準が政策領域に持ち込まれたことで、環境保護の観点からも二酸化炭素を排出しない原子力発電が見直されつつある。だが、温室効果ガスを排出しないとはいえ、原子力発電には原子炉の安全性、放射性廃棄物、核拡散リスク、コストの問題がともなうと考える専門家もいる。環境をこれ以上汚染せずに、電力の必要性をいかにして満たしていくのか。それは、原子力発電なのか、それとも、同様に温室効果ガスを排出しない風力やソーラー(太陽光)エネルギーなどの再生可能エネルギーなのか。あるいは、原子力と再生可能エネルギーの組み合わせなのか。二人の専門家が議論する、エネルギーと地球環境の将来とは。

CFRインタビュー
朝鮮半島新時代の幕開けは近い?

2007年10月号

ドン・オーバードーファー ジョンズ・ホプキンス大学ポール・ニッツスクール 米韓研究所理事長

2007年10月の南北首脳会談後の盧武鉉韓国大統領の発言からして、北朝鮮はまだ改革・開放路線をとる準備はできていないようだ。北朝鮮は長年にわたって国を閉ざし、外の世界で何が起きているか、民衆が気づかないようにすることに努めてきた。だが、「そうした状況もすでに変化している」と北朝鮮問題の専門家、ドン・オーバードーファーは言う。旧ソビエト・東欧で起きたような民主革命が北朝鮮で起きる可能性は低いとしつつも、自分たちの国が「世界で最先端をいく国ではないこと」をこの国を支配している一握りのエリート層が理解し、動揺しだせば、これが民衆にも影響を与えることになると考えられる、と。今後の北朝鮮問題の進展を左右するファクターとして、ウラン濃縮疑惑、韓国の大統領選挙、そして、北朝鮮が新たに問題を作り出さないことを挙げた同氏は、朝鮮半島に新しい時代がもたらされる日も近いかもしれないとしつつも、「北朝鮮については、何事も楽観的な立場から話をするのは危険である。箱の中から何が出てくるかわからない」と慎重な楽観主義の必要性を示唆した。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.org のコンサルティング・エディター)。

核兵器を削減し、核不拡散を強化せよ
――軍事戦略の中枢に核兵器を据えることの誤り

2007年10月号

ウォルフガング・K・H・パノフスキー /スタンフォード大学リニア・アクセラレーター研究所名誉所長(量子物理学)

現状においてアメリカが核戦力を維持することの利益は、他国による核兵器の使用を抑止することだけである。したがって、アメリカの軍事戦略の中枢に核兵器を位置づける理由はもはや存在しない。一方で、アメリカが核の役割を大幅に低下させ、核兵器の削減にコミットし、核不拡散に向けた多国間構想を強化すべき理由は数多くある。この方向での取り組みをみせれば、アメリカが内外での核の削減に本気であることをアピールできる。こうした路線をとって初めて、アメリカの国家安全保障は強化されることになる。

CFRミーティング
核戦争の危険を低下させるには
――他国と協調して脅威を抑え込むか、
それとも壊滅的事態に直面するか

2007年10月号

スピーカー
サム・ナン/元米上院議員
司会
ジェームス・ホーグ/フォーリン・アフェアーズ誌編集長

60年間、核戦争が起きなかったからといって、われわれが安心する理由はどこにもない。今後も、一度や二度、幸運に恵まれる程度では、核戦争を回避するのは難しいかもしれない。核の惨劇を回避できるとすれば、すべての核保有国が核管理をめぐってきわめて慎重な態度をとり、賢明で合理的な判断をするだけでなく、幸運に恵まれる必要がある。……われわれが現在直面する最大の脅威は、壊滅的なテロ、核保有国の数の増大、そして核の偶発使用であり、これらの脅威に対処していくには、モスクワ、北京、その他と協調していかなければならない。他国と協調して脅威を抑え込むか、それとも壊滅的事態に直面するかという選択肢にわれわれは直面している。(S・ナン)

中国の環境破壊はなぜとまらないか

2007年10月号

エリザベス・C・エコノミー
米外交問題評議会アジア研究担当ディレクター

中国の指導者は大胆な環境対策の目標を設定し、環境保護に向けた投資を増やすと表明し、企業や地方政府にそれぞれ環境浄化に努めるよう強く求めだしている。国際社会も「北京も環境保護に向けた新たな路線をとりだした」と思い込んでいるようだ。しかし、こうした国際的反応は、「北京が号令をかければ物事が進む」という誤った思い込みを前提にしている。北京は国としての目標は設定できても、政策の実施面を管理しているわけではない。現実には、地方政府が北京の環境保護指令に注意を払うことはめったにない。むしろ、地方政府はもっぱら経済成長のさらなる推進にエネルギーと資源を注ぎ込んでいる。中国の環境保護政策の方向転換を図るには、環境保護に向けた目標を設定したり投資したりするよりもはるかに困難な、抜本的な政治経済制度の改革が最終的には必要になる。

いまこそイランとの緊張緩和を

2007年9月号

レイ・タキー 米外交問題評議会 中東担当シニア・フェロー

この30年近く、双方の敵意に満ちた感情と無責任なレトリックゆえに、アメリカとイランが合理的関係を構築するのは不可能な環境にあった。イランの現実主義者は常にイデオロギー的強硬派に敗れ去り、アメリカとイランの共通の利益も、歴史的対立のなかで見えなくなっていた。しかし、現在、イランには新保守派のなかに力強い現実主義者の集団が誕生し、しかも彼らは、ワシントンとの協調路線を積極的に唱えている。これに呼応して、ワシントンが緊張緩和路線にそった包括的戦略を考案し、実施していけば、両国が相互の敵対感情を克服できる瞬間がいずれ訪れる。……アメリカが国交を正常化させ、両国が抱え込んでいるすべての懸案について話し合いを始めれば、イランは正統な必要性を満たすことを優先させるのか、それとも、自己欺瞞の妄想にとらわれ続けるのかを選ばざるを得なくなる。

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