
もうしばらく辛抱すれば、現在のイラクの安定が定着し、2010~2011年には大規模な米軍撤退を実施しても、イラクの安定が維持される現実的な見込みが出てきている。スンニ派武装勢力、シーア派武装勢力の力が弱まり、イラク・アルカイダの影響力が低下する一方で、イラク治安部隊が強化され、その結果、政治面でも新しいダイナミクスとインセンティブが作り出されているからだ。民族・宗派間抗争が激しかった過去数年間、イラクの政治勢力の影響力の基盤は、「保護を必要とする者を保護し、保護を必要としていない者を脅迫するための武装勢力を持っていた」ことにあった。しかし、これらの武装勢力は力を失ってきているし、その結果、政治勢力も歩み寄りを模索するようになってきている。この安定を維持し、定着させなければならない。少なくとも、2008年末と2009年末にそれぞれ予定されている地方、国政レベルでの選挙が終わるまでは、相当規模の米軍を維持する必要がある。ある程度の忍耐を持ち、現在のイラクにおける前向きな変化をうまく育んでいけば、永続的なイラクの安定という望みを捨てることなく、近いうちに米軍を撤退させられるようになるかもしれない。