CFRブリーフィング
地球温暖化対策の
「経済的課題」を考える
2008年4月号
世界各国の指導者は、地球温暖化が世界経済を脅かすという認識を共有しだしている。ブッシュ政権は温室効果ガス排出量の上限枠を導入することには依然として消極的だが、次期大統領有力候補者と民主党が過半数を占める米議会は、温室効果ガス排出削減措置の法制化をすでに公約に掲げている。流れが変化するとともに、議論も熱を帯びてきている。
最大の懸案の一つは、「経済にダメージを与えずに温室効果ガスを削減させる最適のアプローチ」が何であるかを決めることだ。炭素税なのか、排出権取引なのか。環境規制によって損なわれるであろう米国内企業の競争力維持を目的とするグリーン関税の導入は、世界貿易機関(WTO)のルールを踏みにじり、世界貿易を混乱させることにはならないか。
地球温暖化対策は雇用の創出や新たな環境技術の開発と導入を促し、経済にプラスの波及効果を与えるのか、それとも、環境への配慮が経済を抑え込んでしまうのか論争は続いている。