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論文データベース(最新論文順)

CFRミーティング
改革路線の継続こそ
インド経済発展の試金石
 ――ムンバイを国際金融センターに

2008年2月号

スピーカー ヘンリー・M・ポールソン   米財務長官
司会  ピーター・アッカーマン    ロックポート・キャピタル社マネージング・ディレクター

「アメリカ財務省が、インドと協力して改革と包括的な経済成長を促進することを望んでいる二つの分野について述べたい。一つは、物的なインフラ整備の資金を提供し、インドの一般家庭の生活に恩恵をもたらし、経済を活性化させること。もう一つは、ムンバイを国際金融センター(IFC)に発展させて、インドの金融システムを強化・拡大することだ。これら二つの目的を達成するには、国際的なスタンダードを受け入れ、政治的なリスクを冒してでも経済改革を積極的に前進させるという強いインド側の決意が必要になる」
 「いまやバンガロールに拠点を置くインド企業は、多国籍企業のバックオフィス業務にとって欠かせない役割を果たしている。この領域では、インド企業が世界のビジネスのやり方を革命的に変化させている。次のステップはムンバイに金融センターをつくり、地域を超えて企業と投資家に金融サービスを提供することだろう」(H・ポールソン)

政府系ファンドとグローバル金融市場
――政府系ファンドは脅威なのか

2008年2月号

ロバート・M・キミット/米財務副長官

政府系ファンドが多くの注目を集めているのは、政府系ファンドの活動がグローバル経済を構造的に変化させる可能性を秘めているからだ。実際、投資を通じて他国の安全保障インフラや民間企業の経営に対して大きな影響力を持つようになる可能性もある。だが、これまでの行動から判断すると、政府系ファンドは政治的な論争を誘発するような行動を慎んでいる。政府系ファンドの投資活動が自由で公正な活動である限り、政府系ファンドからの投資に対して開放的な路線をとり、国内および外国での成長と繁栄を促進すべきだろう。むしろ、必要なのは、政府系ファンドとファンドの受け入れ国が適用できる一連の政策原則を国際的に確立することだ。逆に、最大の脅威は「投資保護主義」の台頭だろう。

CFRインタビュー
ロシアの権力移行で何がどう変わるのか
 ――水面下で進む派閥間権力抗争

2008年2月号

スティーブン・セスタノビッチ 米外交問題評議会ロシア・ユーラシア担当シニア・フェロー

メドベージェフが大統領に、プーチンが首相になったときの権力バランスの再編に備えて、すでにクレムリンでは水面下で派閥抗争が始まっている。「だが、プーチンが自分の路線に合意していると確信するまでは、メドベージェフは大胆な行動はとれないはずだ」。
 ロシアの現状と今後をこう分析するロシア問題の専門家、スティーブン・セスタノビッチは、メドベージェフは「よりリベラルで民主的なロシア」の統治を思い描いていると指摘する。事実、メドベージェフは「国営企業の役員に政府の役人が名を連ねる理由はない」と表明し、プーチンの側近たちが、こうした企業に巣食っていることを痛烈に批判をしている。ただし、メドベージェフが政策路線を変化させていくとすれば、「プーチン同様に、就任から1年か2年過ぎてからだろう」と同氏は語った。
 聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

Classic Selection
カストロ後のキューバ

2008年2月号

ジュリア・E・スウェイグ 米外交問題評議会ラテンアメリカ担当シニア・フェロー

ポスト・カストロ体制の権力移行はすでにかなり進行している。いまや実権を握っているのは弟ラウルと6人の側近たちで、彼らはカストロがつくり上げた体制を維持することを最優先課題に据え、カストロの路線に従って、新政府を安定させ、日々の問題に対応し、キューバ独自の改革モデルを構築し、ラテンアメリカと国際社会における地位を維持し、予想されるアメリカの政策をうまくかわして管理しようと試みている。
 しかし、すでにキューバが新たな時代へと足を踏み入れているというのに、ワシントンは、依然として民主化を求める体制変革路線を維持している。必要なのはキューバへの内政干渉を完全にやめて、2国間の危機管理と信頼醸成措置の導入を提案し、制裁を解除し、亡命キューバ人の路線と決別し、カストロ後のキューバに自分たちの道を選ぶ余地を与えることではないか。

(Classic Selection とは、現在の情勢を理解するうえで有益と思われる過去の掲載論文の再録です。本文の内容、及び著者の肩書きは掲載当時のものです)

CFRメディアブリーフィング
文民指導者の誕生と
パキスタンの将来

2008年2月号

スピーカー ダニエル・マーキー 米外交問題評議会南アジア担当シニア・フェロー
司会 ポール・スタレス 米外交問題評議会予防外交センター・ディレクター

 「旧野党が連帯を組んだとしても、各政党間の反目は根強く、これが消えてなくなることはない。政府ポストの任命の段階になれば、激しく対立するようになる。地方政府レベルでも政治抗争が展開されていくことになるだろう」
 「政府と軍の関係もパキスタン政治の亀裂を深くしていくことになる。文民指導者が台頭していけば、パキスタンで大きな影響力を持つ軍との関係も微妙になってくる。軍に対して現実的なアプローチをとるべきか、それとも反軍部の路線をとるかが問われることになるからだ」
 「(パキスタンでの文民政府の誕生は、政治腐敗がますます増えることを意味すると考えられている)……歴史的に、文民政府が本来の道を踏み外すと、人々は軍が介入することをむしろ歓迎してきた。この悪循環を断つ必要がある」(D・マーキー)

クリストファー・ヒルが語る 対北朝鮮交渉の今後

2008年2月号

クリストファー・ヒル 米国務次官補

「北朝鮮は(核開発に関する)申告をすることそのものを嫌がっているわけではない。問題は、北朝鮮が包括的で正確な申告をするのを嫌がっていることだ。われわれとしては、包括的でも正確でもない申告など受け入れる理由はないと考えている。この点をめぐって、われわれは膠着状態にある」
 対北朝鮮交渉の障害をこう描写するクリストファー・ヒル米国務次官補は、「仮にかつてウラン濃縮計画が存在し、それをやめたのであれば、これまでに何をしていたかを知る必要があるし、計画をやめたのなら、いつやめたのかも知る必要がある。この点を明快にしたい」とコメントした。
 北朝鮮の人権問題についても、アメリカとの関係正常化の条件として間違いなく対応を求めていくと語ったヒルは、「国際社会に復帰したいと考えているのなら、人権基準を守るのが絶対条件となること、つまり、(人権問題に対応すること以外に)そこに選択肢はないこと」を平壌は理解する必要があると強調した。
 聞き手は、ロバート・マクマホン(www.cfr.orgの副編集長)。

CFRインタビュー
対北朝鮮交渉の進展は期待できない

2008年1月号

ゲリー・セイモア 米外交問題評議会副会長兼研究部長

「6者協議での合意の一環として、寧辺(ヨンビョン)の原子炉と使用済み核燃料再処理施設の双方を無力化することになっているが、北朝鮮はその無力化のペースをゆっくりとしたものにしている。平壌は、約束されている重油の提供がゆっくりとしか進んでいないことをその理由に挙げている。なぜ重油の提供がスムーズに行われていないか。それは、もう一つの合意事項である核開発計画の全貌を2007年12月31日にまでに申告するという約束を北朝鮮側が果たしていないからだ」。合意の進展が膠着状態に陥っている背景をこう分析する核拡散問題の専門家ゲリー・セイモアは、「北朝鮮は6者協議の核解体プロセスを塩漬けにして、アメリカに次期大統領が誕生するのを待って、その後、交渉を再開したいと言い出すつもりかもしれない」と指摘する。「1年後も北朝鮮の核(問題)は現状のままであることが、ますますはっきりしてきた」と述べ、北朝鮮への新たな戦略の採用を促したジェイ・レフコウイッツ米特使の発言についても、「北朝鮮は、少なくとも、2008年の間は核兵器の放棄に応じるつもりはない、とブッシュ政権の高官の多くが考えていることを、彼が公の場で述べたにすぎない」と語った。「北朝鮮はまともな申告を提出しそうにはなく、プロセスは膠着状態に陥ったままだろうし、そうだとすれば、対応はアメリカの次期政権に委ねられることになる」と。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

CFRブリーフィング
政府系ファンドを考える

2008年1月号

ロバート・M・キミット

政府の資金を管理・運用するためにファンドをつくるのは何も目新しいことではない。だが、この5年にわたって、既存の政府系ファンドが保有する資金が大幅に増えているだけでなく、数多くの政府系ファンドが新たに立ち上げられている。国際通貨基金(IMF)は2007年9月に、政府系ファンドが管理する資金を3兆ドルと試算し、2012年までにその額は12兆ドルへ達すると予測した。これは、世界最大の政府系ファンドが、世界最大の企業に匹敵する資金を持つようになることを意味する。その規模の大きさと増殖ペースの速さゆえに、いまやエコノミストだけでなく、政治分析者も政府系ファンドの動向に大きな関心を寄せている。たしかに、資源保有国が政府系ファンドを持てば経済を多角化できるようになる。だが一方で、政府系ファンドが投資先企業の株主としての権限を政治目的で乱用するのではないかという懸念もあるし、政府系ファンドの情報公開を求めるべきだという声も聞かれる。

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