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論文データベース(最新論文順)

CFRインタビュー
ロシアは欧米との関係改善を模索する

2008年4月号

アンドレイ・A・ピオントコフスキー (モスクワ)戦略研究センター所長

「メドベージェフとプーチンが対立していくかどうかはともかく、いずれ、メドベージェフとプーチンに仕える官僚たちが対立しだすのは避けられない」
 「二つのパワーセンターを抱え、ロシアはかつて経験したことのない海域へと入りつつある」と指摘するモスクワの戦略研究センター所長、アンドレイ・ピオントコフスキーは、一方で、欧米との関係は改善していくだろうと今後を予測する。そう考えるのは、メドベージェフが権力者になったからではなく、政治的必要性としての欧米との敵対路線、戦略的必要性としての欧米との協調路線が作り出すサイクルのなかで、対立局面が終わりつつあるからだと同氏は語った。
  聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティニグ・エディター)。

CFRインタビュー
資源大国アフガニスタンの
治安と開発のジレンマ

2008年4月号

アンワルルハク・アハディ  アフガニスタン財務相

アフガニスタン政府は、治安確保と経済開発という二つの戦線で同時に戦わなければならない状態にある。「最低限の治安確保こそ、経済開発の前提だが、……紛争が沈静化するまで、国の再建と開発を先延ばしにすることもできない」。
 治安と開発のジレンマをこう指摘するアフガニスタン政府のアハディ財務相は、ケシ栽培の撲滅と歳入の増大という大きな目的の実現に向けて着実に成果を挙げていると強調し、援助の効率化・合理化を図るために、国際社会が援助を政府に与え、これを経済開発資金として予算化することを認めて欲しいと訴えた。
 資源に恵まれたアフガニスタンへの資源開発投資が、経済を上向かせる起爆剤となるのか、それとも、治安への不安が投資を遠ざけてしまうのか。いまやアフガニスタンは大きな分岐点にさしかかろうとしているようだ。
  聞き手は、グレッグ・ブルーノ(www.cfr.orgのスタッフ・ライター)。

中国とインドはアフリカをめざす
 ――中印との貿易をアフリカの経済開発につなげるには

2008年4月号

ハリー・G・ブロードマン  世界銀行アフリカ地域経済顧問

 アフリカと中国、インドの貿易がこれまでにないペースで拡大しており、アフリカの指導者は、現在の中国とインドとの経済関係をもっとうまく利用して成長に弾みをつけるべきだろう。中国とインドのアフリカへの進出拡大は、アフリカ諸国が限られた一次産品への極端な依存状況から脱し、労働集約的な軽工業品とサービス産業へとシフトしていく大きな機会を提供している。
 この機会を生かすには、改革を通じて市場競争力や統治の質を高め、インフラを整備し、好ましい投資環境を整備しなければならない。改革がきちんと実行されれば、中国とインドのアフリカへの経済進出は、世界の最貧層の3億人が暮らし、最も困難な開発上の問題を抱えるアフリカの発展と世界経済への統合を実現するためのかつてない呼び水になるかもしれない。

中国とインドはアフリカをめざす
―― 中印との貿易をアフリカの経済開発につなげるには

2008年4月号

ハリー・G・ブロードマン 世界銀行アフリカ地域経済顧問

アフリカと中国、インドの貿易がこれまでにないペースで拡大しており、アフリカの指導者は、現在の中国とインドとの経済関係をもっとうまく利用して成長に弾みをつけるべきだろう。中国とインドのアフリカへの進出拡大は、アフリカ諸国が限られた一次産品への極端な依存状況から脱し、労働集約的な軽工業品とサービス産業へとシフトしていく大きな機会を提供している。この機会を生かすには、改革を通じて市場競争力や統治の質を高め、インフラを整備し、好ましい投資環境を整備しなければならない。改革がきちんと実行されれば、中国とインドのアフリカへの経済進出は、世界の最貧層の3億人が暮らし、最も困難な開発上の問題を抱えるアフリカの発展と世界経済への統合を実現するためのかつてない呼び水になるかもしれない。

人民元の切り上げ要求は間違っている

2008年4月号

デビット・D・ホール  アメリカン・プロスペクト誌共同編集長
リリック・ヒューズ・ホール チャイナ・オンライン発行人 

ワシントンでは人民元の切り上げで米中間の貿易不均衡を是正できると考えられているが、そもそも貿易不均衡は米議会が考えているほど大きな脅威ではない。中国の貿易黒字の拡大を、中国が世界経済、そしてアメリカの企業と消費者に数多くの利益をもたらしている結果とみなすこともできる。
 ……人民元の切り上げを求めていかに熱い議論を展開し、仮にそれが実現するとしても、アメリカの対中貿易赤字が削減するとは考えにくい。むしろ、中国の経常黒字を減らし、貿易収支を均衡させると思われるのは、中国の税制改革、企業・金融部門の改革、段階的な企業の財務状況の公開、内需拡大の奨励策だろう。
 より重要で大きな課題は、中国のグローバル経済への統合プロセスをいかにしてうまく成功させるかだ。そのためには、9番目のメンバーとしてG8に中国を迎え入れるための改革を行うべきだ。

CFRインタビュー
分裂する中国社会と
ナショナリズムの行方
――チベット問題は氷山の一角にすぎない

2008年4月号

エドワード・フリードマン  ウィスコンシン大学政治学教授

経済開放政策が中国社会を揺るがしている。現状の開放策を維持するか、それとも中国らしさを支える伝統的な価値へと回帰するかをめぐって、地域も軍もナショナリストたちさえも内に分裂を抱えている。
 改革開放路線を導入した鄧小平は、当初から「反帝国主義スローガン」に代わる国の統合と連帯を図るツールが必要なことを理解していた。経済開放策を導入しようとしているのに、「反帝国主義スローガンではなじみが悪い。そこで、(国を束ねるツールとして)誕生したのがナショナリズム路線だった」。だが、あまりにナショナリズムを多用すれば、近隣諸国の多くをアメリカ側へと追いやってしまうことに気づいた胡錦涛は、一転、近隣諸国への柔軟外交に転じた。
 そしていまやナショナリストたちは、アメリカとの良好な関係を可能な限り維持するか、それとも、ヨーロッパや東南アジアとの貿易と投資の流れをもっと強化し、アメリカへの依存状況を軽くするかで割れている。
 邦訳文は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)のエドワード・

CFRインタビュー
サイバースペースと
未来形戦争を考える

2008年4月号

ウィリアム・T・ロード 米空軍サイバーコマンド司令官

米軍は、軍が使用するサイバースペース、つまり、軍のデジタルリソース、コンンピューターインフラの防衛構想を強化している。
 米軍のサイバーコマンドの司令官に任命されたウィリアム・T・ロードは、サイバー空間の攻撃にはコストがほとんどかかからないために、攻撃してくる相手は数多くいると指摘し、「大規模な軍隊を持たない国も、現実世界では考えようもなかった攻撃を国その他のターゲットに挑めるようになった」と指摘し、「戦争のスタイルそのものが変わってくると思う」と今後を予測した。
  聞き手は、グレッグ・ブルーノ(www.cfr.orgのスタッフ・ライター)。

CFRインタビュー
「イージーオイル」時代の終わり

2008年4月号

イェルーン・ファン・デルフェール  ロイヤル・ダッチ・シェル最高経営責任者

開発しやすく、市場への搬出も容易なイージーオイルの生産は、10年もすれば頭打ちとなり、その後は、再生可能エネルギー、あるいは開発・生産の難しいオイルサンドなどの非在来型石油資源への移行が、スムーズではなくとも、しだいに進んでいくことになるかもしれない。
 ロイヤル・ダッチ・シェルの最高経営責任者(CEO)、イェルーン・ファン・デルフェールは、石油需要の今後をこう示唆する一方で、2008年の石油需要は2007年を上回ると考えられると指摘する。アメリカやヨーロッパで何が起きようと、中国とインドその他の南アジア、北東アジアの経済成長が、それを補ってあまりある需要を作り出す、と。今後における重要なポイントは、イージーオイルに比べて、アクセス・開発が難しく、コストもかさむ非在来型石油資源の場合、石油企業が市場の需要増に反応するのに、より多くの時間がかかるようになることだと同氏は強調した。
  聞き手は、リー・ハドソン・テスリク(www.cfr.orgのアシスタント・エディター)。

CFRブリーフィング
地球温暖化対策の
「経済的課題」を考える 

2008年4月号

トニ・ジョンソン スタッフライター

世界各国の指導者は、地球温暖化が世界経済を脅かすという認識を共有しだしている。ブッシュ政権は温室効果ガス排出量の上限枠を導入することには依然として消極的だが、次期大統領有力候補者と民主党が過半数を占める米議会は、温室効果ガス排出削減措置の法制化をすでに公約に掲げている。流れが変化するとともに、議論も熱を帯びてきている。
 最大の懸案の一つは、「経済にダメージを与えずに温室効果ガスを削減させる最適のアプローチ」が何であるかを決めることだ。炭素税なのか、排出権取引なのか。環境規制によって損なわれるであろう米国内企業の競争力維持を目的とするグリーン関税の導入は、世界貿易機関(WTO)のルールを踏みにじり、世界貿易を混乱させることにはならないか。
 地球温暖化対策は雇用の創出や新たな環境技術の開発と導入を促し、経済にプラスの波及効果を与えるのか、それとも、環境への配慮が経済を抑え込んでしまうのか論争は続いている。

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