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論文データベース(最新論文順)

CFRインタビュー
サイバースペースと
未来形戦争を考える

2008年4月号

ウィリアム・T・ロード 米空軍サイバーコマンド司令官

米軍は、軍が使用するサイバースペース、つまり、軍のデジタルリソース、コンンピューターインフラの防衛構想を強化している。
 米軍のサイバーコマンドの司令官に任命されたウィリアム・T・ロードは、サイバー空間の攻撃にはコストがほとんどかかからないために、攻撃してくる相手は数多くいると指摘し、「大規模な軍隊を持たない国も、現実世界では考えようもなかった攻撃を国その他のターゲットに挑めるようになった」と指摘し、「戦争のスタイルそのものが変わってくると思う」と今後を予測した。
  聞き手は、グレッグ・ブルーノ(www.cfr.orgのスタッフ・ライター)。

CFRインタビュー
「イージーオイル」時代の終わり

2008年4月号

イェルーン・ファン・デルフェール  ロイヤル・ダッチ・シェル最高経営責任者

開発しやすく、市場への搬出も容易なイージーオイルの生産は、10年もすれば頭打ちとなり、その後は、再生可能エネルギー、あるいは開発・生産の難しいオイルサンドなどの非在来型石油資源への移行が、スムーズではなくとも、しだいに進んでいくことになるかもしれない。
 ロイヤル・ダッチ・シェルの最高経営責任者(CEO)、イェルーン・ファン・デルフェールは、石油需要の今後をこう示唆する一方で、2008年の石油需要は2007年を上回ると考えられると指摘する。アメリカやヨーロッパで何が起きようと、中国とインドその他の南アジア、北東アジアの経済成長が、それを補ってあまりある需要を作り出す、と。今後における重要なポイントは、イージーオイルに比べて、アクセス・開発が難しく、コストもかさむ非在来型石油資源の場合、石油企業が市場の需要増に反応するのに、より多くの時間がかかるようになることだと同氏は強調した。
  聞き手は、リー・ハドソン・テスリク(www.cfr.orgのアシスタント・エディター)。

CFRブリーフィング
地球温暖化対策の
「経済的課題」を考える 

2008年4月号

トニ・ジョンソン スタッフライター

世界各国の指導者は、地球温暖化が世界経済を脅かすという認識を共有しだしている。ブッシュ政権は温室効果ガス排出量の上限枠を導入することには依然として消極的だが、次期大統領有力候補者と民主党が過半数を占める米議会は、温室効果ガス排出削減措置の法制化をすでに公約に掲げている。流れが変化するとともに、議論も熱を帯びてきている。
 最大の懸案の一つは、「経済にダメージを与えずに温室効果ガスを削減させる最適のアプローチ」が何であるかを決めることだ。炭素税なのか、排出権取引なのか。環境規制によって損なわれるであろう米国内企業の競争力維持を目的とするグリーン関税の導入は、世界貿易機関(WTO)のルールを踏みにじり、世界貿易を混乱させることにはならないか。
 地球温暖化対策は雇用の創出や新たな環境技術の開発と導入を促し、経済にプラスの波及効果を与えるのか、それとも、環境への配慮が経済を抑え込んでしまうのか論争は続いている。

なぜ民族は国家を欲しがるか
――歴史を規定しつづけるエスノナショナリズムの力

2008年4月号

ジェリー・Z・ミューラー 米カトリック大学歴史学教授

「(いまや世界各国で)都市化が進み、識字率が上昇し、政治的に民族集団を動員することも容易になっている。こうした環境下で、民族集団間に出生率や経済成長の格差が存在し、これに新たな移民の流れが加われば、今後も、国の構造や国境線がエスノナショナリズムによって揺るがされることになる。……エスノナショナリズムは、近代国家の形成プロセスが表へと引きずり出す人間の感情と精神にかかわる本質であり、連帯と敵意の源である。形は変わるとしても、今後長い世代にわたってエスノナショナリズムがなくなることはあり得ないし、これに直接的に向き合わない限り、秩序の安定を導き出すことはできない」

アメリカはアジアの台頭にうまく対応できるのか
――問題をつくりだしているのは欧米世界ではないか

2008年4月号

スピーカー
キショール・マブバニ/国立シンガポール大学公共政策大学院長
司会
エレン・L・フロースト/ピーターソン国際経済研究所客員研究員

いまや誰もがアジアをはっきりとしたモデルとみなしている。そしてアジアにおける新しいストーリーとは、アジアが一つにまとまりつつあることだ。人の自由な流れがアジアでは起きている。……新しいアジアの形成は、世界にとって大きな貢献となる。その理由は、これが、安定した世界秩序に利益を見いだし、グローバル秩序の混乱を望まず、西洋と協調したいと望む責任ある利害共有者を大幅に増やしていることを意味するからだ。……若いイスラム教徒たちにとっては、「西洋を模範とする道を歩むか、それともオサマ・ビンラディンに従うか」しか道はなかったが、いまでは、「自分たちも中国やインドに続こう」と考えだしている。

コペンハーゲン・コンセンサス
――デンマークでアダム・スミスを読む

2008年4月号

ロバート・カットナー
アメリカン・プロスペクト誌共同編集長

現在のデンマークモデルの中核は、労働市場の柔軟性(フレキシビリティー)と雇用保障(ジョブ・セキュリティー)のバランスをうまく組み合わせた「フレキシキュリティー」という概念、つまり、労働市場の柔軟性と雇用保障を両立させていることにある。労使協調路線がとられ、極端に高い課税率も結局は、社会サービスとして市民に還元されている。世界でもっとも平等で社会格差が小さく、それでもきわめてリバタリアンな思想を持つこの国は、どのようにして平等と効率、社会的正義と自由貿易を両立させているのか。グローバル化がつくりだす問題に対処するために、資本主義国がデンマークモデルを取り入れる余地はあるのか。

CFRディベート
変化するグローバルパワーの
ダイナミクスにどう対応するのか
 ――米欧中のG3か、それとも「鍵を握る5カ国」との協調か

2008年4月号

ニーナ・L・ハチジャン  センター・フォー・アメリカン・プログレス上席副会長
パラグ・カーンナ  ニューアメリカ財団シニア・リサーチフェロー

安定した秩序を求める中国、インド、ロシア、EU(欧州連合)、日本は、われわれ同様に、テロリスト、地球温暖化、疾病・感染症、核拡散という脅威に対処していかなければならないと考えている。各国が力を合わせない限り、こうしたグローバル化がつくりだした負の側面に対処していくことはできない。(N・ハチジャン)

 対テロ作戦、紛争後の安定化、地球温暖化、開発政策、核拡散、問題国家などのトランスナショナルな対応を要する政策領域については、アメリカ、EU、中国が、G3の協議プロセスを立ち上げ、共有できるルールと規範をともに形作っていくことを提言したい。(P・カーンナ)

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