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論文データベース(最新論文順)

Classic Selection 2008
米中によるG2の形成を

2008年7・8月号

C・フレッド・バーグステン/ピーターソン国際経済研究所所長

現在のアメリカの対中アプローチは、既存のグローバル経済秩序に参加するように中国を促すことに焦点を当て、一方の中国は、制度構築上の役割を担う余地のないシステムに組み込まれるという構図を不愉快に感じ、一部で制度に挑戦する動きをみせている。ワシントンは、短絡的に米中間の2国間問題にばかり焦点を当てるのではなく、北京とグローバル経済システムを共同で主導していくための真のパートナーシップを構築していくべきだ。グローバルな経済超大国、正当な制度設計者、国際経済秩序の擁護者としての中国の新たな役割に向けて環境を適正化できるのは、米中によるG2構想だけだ。米中間の紛争を制度的な管理の問題に置き換えて、解決を試みていくことは極めて効率的なやり方である。

石油戦略備蓄の効果を最大化するには
――備蓄量ではなく、備蓄の管理体制に目を向けよ

2008年7・8月号

デビッド・G・ビクター 米外交問題評議会非常勤シニア・フェロー
サラ・エスクレイス・ウィンクラー 元米外交問題評議会・国家安全保障担当研究員

「石油の供給ショックに備えた石油の備蓄を準備しておけば、世界の石油供給の混乱に対する内外のショックへのバッファーにできる」。これが戦略備蓄の構築に向けたロジックだった。たしかに、カトリーナやリタなどのハリケーン災害など、短期的な危機の場合には、戦略備蓄の放出をめぐる国際協調がうまくいくこともあるが、石油供給がひどく混乱し、何としてもまず自国を救いたいと各国が考えるような切実な危機の際には、うまく協調できないことが多い。より優れたシステムをつくるには、備蓄の量ではなく、むしろ、この備蓄をどれだけうまく管理できるか、つまり、いかにタイミングよく備蓄を積み増し、あるいは放出するかを判断する、政府から独立した組織を新たに持つ必要がある。そして、資金の流動性を独自の判断で調整する中央銀行こそ、石油の戦略備蓄を管理する組織の格好のモデルとみなせる。

アメリカの国益を再考する
――新しい世界とアメリカ特有のリアリズム

2008年6月号

コンドリーザ・ライス  米国務長官

アジア・太平洋地域でも民主化が進展するとともに、同盟関係のネットワークが拡大し、われわれが共有する目的が促進されている。多くの人が中国の台頭がアジアの将来を左右すると考えているが、同様に、アジアでしだいに広がりをみせている民主国家コミュニティーの台頭も将来を左右する重要な要因だし、ともすれば、後者のほうが中国の台頭以上に、今後を左右するファクターになるかもしれない。
 われわれはオーストラリア、東南アジアの主要国、日本との強固で民主的な同盟関係を築き上げている。日本は、いまや普通の国家としても台頭しつつある経済大国で、アジア、そして広くアジアを超えてわれわれと共有する価値を守り、推進していく力を持っている。
 ……アジア・太平洋でのこうした展開は、われわれの価値と戦略利益にとって劇的なブレークスルーである。

イスラエルはトルコの仲介でシリアと交渉し、レバノンとの和平にも前向きになっている。シリア、レバノンとの和平に集中するためか、ガザ地区のハマスとは休戦合意を成立させている。シリアとレバノンの双方との交渉を試みているイスラエルの意図について、「シリアと交渉している以上、イスラエルがレバノンとの直接交渉するのを望んでいることには不思議はない。
 ……双方と交渉しない限り、紛争は決着させられない」と説明する米平和研究所の中東専門家モナ・ヤコービアンは、一方でシリアは「欧米の政策が作り出した孤立状況から脱して、グローバル経済への統合」を果たすことを最優先に考え、「もはやイスラエルと軍事的対決路線をとるつもりはない」とみる。
「イスラエルは、フランスが7月にパリで主催する欧州・中東諸国を交えた首脳会議の場で、シリアのアサド大統領とイスラエルのオルメルト首相の直接交渉をセットアップしたいと考えて」おり、これが実現すれば、中東情勢は大きく動くかもしれない。
 聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

新しい中東戦略を提言する
 ――イラン封じ込め戦略は間違っている

2008年6月号

バリ・ナサル  フレッチャースクール法律外交大学院国際政治学教授
レイ・タキー  米外交問題評議会シニア・フェロー

1980年代にアメリカは(シーア派の)イランを封じ込めようとアラブ諸国政府を動員したが、その結果、スンニ派の政治文化を急進化させ、ついにはアルカイダを誕生させてしまった。今回も、同様に忌まわしい結末に直面する危険がある。
  イラン封じ込め戦略は、シーア派のイランに対抗する思想的な防波堤としてスンニ派過激主義思想を助長するだけに終わるかもしれない。これまでのように中東のパワーバランスを回復することを目指すのではなく、地域の統合を働きかけ、すべての関係勢力が現状を維持することに利益を見いだすような新たな枠組みをつくり上げることを目指すことこそ、ワシントンにとって賢明な選択のはずだ。

「私はアメリカの相対的地位が低下する一方で、ヨーロッパやアジアが台頭するといったとらえ方はしていない。アメリカの相対的な立場が低下し、他の多くの諸国が混乱のなかで競い合うようになる。これが現実に起きていることだ」。むしろ、国がパワーを独占した時代は終わっていることを認識する必要があるとR・ハース米外交問題評議会(CFR)会長は強調している。「ドルの流れという点ではシティ・グループやメリルリンチなどがより大きな役割を果たしていくようになるし、政府系ファンド領域ではアブダビ投資庁(ADIA)、グローバルな公衆衛生領域ではゲイツ財団などのプレーヤーが台頭している。中東の武装集団も、パキスタン西部に隠れているテロ集団も無視できない存在になる」。もはや、脅威やアジェンダがかつてのようにはっきりとしたものでない以上、国だけでは問題に対処できないし、京都合意のような包括的な国際合意の形成も、もはや期待できないとハースはみる。必要なのは、かつてのような同盟関係ではなく、是々非々の多国間主義であり、これまでの多国間主義とは異なる協調のスタイルを考えていく必要があると指摘した。邦訳文は5月にワシントンで開かれたCFRミーティングの質疑応答からの抜粋。

「私はアメリカの相対的地位が低下する一方で、ヨーロッパやアジアが台頭するといったとらえ方はしていない。アメリカの相対的な立場が低下し、他の多くの諸国が混乱のなかで競い合うようになる。これが現実に起きていることだ」。むしろ、国がパワーを独占した時代は終わっていることを認識する必要があるとR・ハース米外交問題評議会(CFR)会長は強調している。「ドルの流れという点ではシティ・グループやメリルリンチなどがより大きな役割を果たしていくようになるし、政府系ファンド領域ではアブダビ投資庁(ADIA)、グローバルな公衆衛生領域ではゲイツ財団などのプレーヤーが台頭している。中東の武装集団も、パキスタン西部に隠れているテロ集団も無視できない存在になる」。もはや、脅威やアジェンダがかつてのようにはっきりとしたものでない以上、国だけでは問題に対処できないし、京都合意のような包括的な国際合意の形成も、もはや期待できないとハースはみる。必要なのは、かつてのような同盟関係ではなく、是々非々の多国間主義であり、これまでの多国間主義とは異なる協調のスタイルを考えていく必要があると指摘した。邦訳文は5月にワシントンで開かれたCFRミーティングの質疑応答からの抜粋。

CFRブリーフィング
F・バーグステンが分析する中国経済の脅威と機会

2008年6月号

スピーカー
C・フレッド・バーグステン/国際経済ピーターソン研究所所長
司会
セバスチャン・マラビー/米外交問題評議会・地政経済学研究センター所長

中国は、為替政策、貿易、エネルギー政策、対外援助などの一部の領域をめぐって、現在の経済秩序の規範、指針、ルール、制度的アレンジに反するような行動をとっている。中国が既存のシステムを混乱させる戦略の一環として、システムの一部に挑戦していると言うつもりはないが、そこにいるのはたんなる経済超大国ではない。おそらくは、現在のゲームルールに則して行動することに乗り気でない経済超大国だ。…だが最近では、国際経済システムが必ずしもうまく機能しなくなっていることも考えなければならない。実際、国際通貨基金(IMF)、世界貿易機関(WTO)、主要7カ国(G7)などの伝統的な機関はこの10年にわたってうまく機能していない。つまり、中国の挑戦を別にしても、現在のシステムを改革し、変化させていく必要がある。この意味では、中国の挑戦をよい刺激とみなすこともできる。だが、どの方向に変化させて、努力していくかが問われる。

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