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論文データベース(最新論文順)

Agenda 2009
核のない世界は実現できる

2008年12月号

アイボ・ダールダー
ブルッキングス研究所シニア・フェロー
ジャン・ローダル
アトランティック・カウンシル前会長

世界はより多くの核保有国と核分裂物質、警備体制が十分ではない原子力施設の増殖に特徴付けられる時代へと足を踏み入れつつあり、その結果、核を入手しようとしているテロリストの試みはより簡単になり、核兵器が現実に使用されるリスクも高くなっている。核兵器を暫定的に保有する目的を「他のアクターによる核兵器の使用を阻止することに制限し、アメリカが保有する核弾頭の数を1千個へと削減し、世界におけるすべての核分裂物質の所在を明らかにし、それを監視するための包括的な核管理レジームを立ち上げ、核廃絶に向けた最大限の国際的連帯をとりまとめていくべきだ。いま、核廃絶の道を歩みださなければ、いずれ核兵器が本当に使用される日がやってくるリスクを受け入れざるを得なくなる。

The Classic Selection 1932
大恐慌

2008年12月号

エドウィン・F・ゲイ
ハーバード・ビジネススクール初代学部長

「今現在の生産力と生活水準を即座に引き上げるために、将来を担保に自由に信用に頼るという戦時の慣習が戦後も続いた。途方もない大量の信用が使われ、乱用されることもしばしばだった。乱用自体は目新しくないが、創造される信用の規模はかつてないものとなった。紙の上での利益を人々が現実にお金に換えだすと、肥大化した信用が収縮しだし、多くの投資家が浮かれた夢から目を覚まし、我を取り戻した。そしてパニックが起きた」

イランの権力と政治構造を解明する
――ハメネイの絶対権力を崩さなければ、何も変わらない

2008年12月号

アクバル・ガンジ イラン反体制派ジャーナリスト

現在のイランが直面する苦境を招き入れたのは誰の責任か。1人を名指しするとすれば、それはイランの最高指導者として過去20年にわたって絶対的な権力を保持してきたハメネイだ。実際、あらゆる権力を牛耳っているのはハメネイで、アハマディネジャドが2009年の大統領選挙で敗れても、事態は何も変わらないだろう。特に外交分野では変化を期待できない。今後イランが本当に変わるとすれば、イラン人が現在のスルタン国家体制を超えて動きだす方法を見つけたときだけだろう。これまでのワシントンの最大の関心は、イスラム共和国の核開発プログラムを阻止し、中東地域におけるイスラエルの戦略的優位を確保することにあった。一方、イラン人の反体制派、人権活動家、民主活動家の目的は、非暴力的なやり方で、自由、人権、連邦主義を模索する民主政治制度を導入することにある。イランと交渉していくつもりなら、ワシントンはハメネイの絶対権力、そして、イランの民主化勢力の立場に十分配慮しなければならない。

CFRインタビュー
米ロ関係の悪化は必然ではない
――軍備管理交渉で米ロ関係の安定化を

2008年11月号

スティーブン・パイファー ブルッキングズ研究所客員フェロー

 「ロシアのグルジア侵略の真意は、モスクワがロシア周辺地域で影響力を再確立することに本気であることを示すことにあり、これこそ、われわれが今後対応を考えていくべき問題だ」。グルジア侵攻をめぐるロシアの真意をこう分析するスティーブン・パイファーは、アメリカの新大統領は、国際ルールを踏みはずした場合にはペナルティーを科すことを明確にモスクワに伝える一方で、核関連物質の管理など、両国が利益を共有している領域では協力関係を強化し、うまくバランスをとる必要があると指摘し、米ロ間の軍備管理交渉を再開することこそ、軍縮を上回るプラスの作用を両国の関係にもたらせるとコメントした。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.org のコンサルティング・エディター)。

CFRインタビュー
ユーシェンコ・ウクライナ大統領との対話
――ヨーロッパとの統合とロシアとの関係

2008年11月号

スピーカー
ビクトル・ユーシェンコ  ウクライナ大統領
司会
クリスティア・フリーランド  フィナンシャル・タイムズ紙米マネージング・エディター

「ウクライナが政治的混乱に陥っているのは、グルジア紛争の余波がウクライナを不安定化させた結果だとみる人もいる。大統領、議会、地方政府の選挙を実現させるために、2008年の12月までにウクライナ政治を不安定化させようとする計画の一環だとする見方もある。この計画をまとめた人物は、ウクライナの政治を不安定化させることで、これまでウクライナがとってきた戦略、外交、国内政策、EU路線とは異なる方向へとギアを入れ替えさせるための政治状況を作り出そうとしている」

CFRミーティング
ラブロフ・ロシア外相が語る
グルジア紛争と米ロ関係

2008年11月号

スピーカー
セルゲイ・ラブロフ  ロシア外相
司会
デビッド・レムニック  ニューヨーカー誌エディター

「ロシアとの協調を望む案件のリスト、そうでない案件のリストをアメリカが持っているのなら、それを教えてほ しい。そうすれば、われわれはもっとうまくアメリカとの関係を管理していける。……私は、8月8日の早朝に、サーカシビリ大統領が試みたような血なまぐさい侵略を今後誰も起こさないようになること、誰もロシア市民を殺さないことを望む。ここでの人々の選択ははっきりしている。国際合意に基づき展開していたロシアの平和維持部隊のメンバーを含む、数百名のロシア市民を殺した勢力を支持するのか、それとも、そうした勢力を支持しないかだ」

CFRインタビュー
金融危機を温暖化対策を
先送りする「口実」にするな

2008年11月号

ケビン・M・コンラッド パプアニューギニア環境・地球温暖化問題担当国連特使

 2012年に期限切れとなる京都合意の後継枠組みをめぐる話し合いが続けられるなか、「世界的な金融危機を前に温暖化対策交渉がないがしろにされるのではないか」という懸念が浮上している。
 「金融危機を地球温暖化への取り組みを先送りする口実にしてはならない」とケビン・コンラッド、パプアニューギニア環境・地球温暖化問題担当国連特使は警鐘を鳴らす。コンラッドは、2007年にバリで開かれた第13回気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)で、アメリカ政府代表に対して「指導的役割を果たすつもりがないのなら、少なくとも邪魔しないでほしい。出て行ってほしい」と毅然と言い放ったことで知られる人物だ。
 「やるべきことをしない口実、間違った判断を正当化する理屈を探すのは非常に簡単だし、特に政治家はそうすることに長けている」と指摘するコンラッドは、実際には金融危機は「もっともコストのかからない温暖化対策の優先順位を引き上げ、実施する機会を提供している」とコメントし、むしろ困難な現実を前にしても、状況を前向きに捉えるべきだと主張する。「温暖化対策をめぐる不作為は大きなコストを伴うし」、すでにパプアニューギニアは海面上昇によって村の住民が移動せざるを得なくなるほど地球温暖化の悪影響を受けていると同氏は語った。聞き手は、トニー・ジョンソン(www.cfr.orgのスタッフ・ライター)。

CFRインタビュー
グローバル化時代の危機には
政府間協調システムで対処せよ
――金融危機対応の教訓

2008年11月号

アン=マリー・スローター プリンストン大学ウッドロー・ウィルソン公共・国際問題大学院長

「いまや、そこに存在するのが『グローバルに統合された金融企業』である以上、『金融システムもグローバルに統合されている』ということだ。事実、今回の金融危機においても、主要国の中央銀行当局は協調して流動性を提供している。こうした政府間ネットワークが最初に形成されたのは金融セクターにおいてだった。そう、(1972年に組織された)バーゼル(銀行監督)委員会だ。これ以降、主要国の中央銀行当局の代表者は定期的に会合の場をもってきた。各国の立場を調整し、相互信頼と知識を積み重ねてきた。バーゼル委員会がなければ、今回の危機を前に各国の金融当局が協調行動をとるのは難しかったはずだ」。
 聞き手はリー・ハドソン・テスリク (www.cfr.org のコンサルティング・エディター)。

CFRインタビュー
カーライル・グループ、
D・ルーベンシュタインが語る
金融危機第2幕に備えよ
――強欲は鳴りをひそめ、恐怖がとって代わった

2008年11月号

デビッド・M・ルーベンシュタイン カーライル・グループ共同創設者兼マネージング・ディレクター

 アメリカの株式市場が下落し、世界中の主要株式市場も連鎖的に下落したことを受けて、専門家の多くは、2008年の金融危機はすでにパニックを引き起こしていると考えるようになった。大手プライベート・エクイティのカーライル・グループの創設者で、現在、マネージング・ディレクターを務めるデビッド・M・ルーベンシュタインは、パニックと恐怖を緩和するには、「なりふりかまわずに」あらゆる対策を打たなければならないと主張する。
 米外交問題評議会(CFR)の役員でもあるルーベンシュタインは、現在起きている株式市場の暴落と信用収縮は金融危機の「氷山の一角」にすぎないと述べ、この数十年間にわたって世界経済を牽引してきた金融および経済の原動力の徹底的なオーバーホールが行われることになると今後を見通している。さらなる混乱を回避するには、政府とビジネスの指導者の協調、そして各国政府との協調が必要になると語る。
 現在の混乱はプライベート・エクイティのビジネスにどのような影響を与えるのか。レバレッジ規制はプライベート・エクイティにとっても大きな問題となるとルーベンシュタインはみる。潤沢なキャッシュを手元に持ってはいても、ローンを組むことができなくなれば、プライベート・エクイティは、レバレッジを利用して企業を買収していく戦略を取ることができなくなり、生き残っていくには、どのようにビジネスモデルを変えていくかを考えていかなければならない、と。一方で同氏は、特定の段階になれば、千載一遇の投資チャンスをとらえようとする投資資金が流入し始め、企業が再生していくと考えられるとコメントした。聞き手は、リー・ハドソン・テスリク(www.cfr.orgのアソシエート・エディター)。

独自路線を選んだロシア
 ――グルジア紛争の本当の意味合い

2008年11月号

チャールズ・キング ジョージタウン大学教授

ロシアはこの2世紀にわたって、西洋との大きな対立局面を経た後には、西洋との協調への期待を高めながらも、幻滅して国内に引きこもるというパターンを繰り返してきた。そして、未来の歴史家は南オセチア危機のことを、ロシアが既存の国際的ルールを無視して、独自のやり方を貫くようになった時代の始まりとして解釈することになるだろう。ロシアは(周辺地域に)積極的に軍事介入する時代へと足を踏み入れ、国連安保理や欧州安保協力機構(OSCE)など、多国間機構をほとんど重視しなくなった。いまやクレムリンも平均的なロシア人も、世界のことなどどうでもいいと思い始めている。「既存の多国間機構はアメリカとヨーロッパ主要国のあからさまな利益追求のための隠れ蓑にすぎない」と考えだしているからだ。
 だが、ロシアと欧米間の溝が深まっていくとしても、それが新たな冷戦の到来を意味するわけではないだろう。むしろ、それは米ロが、自らの矛盾を自国の市民と世界にどれだけきちんと説明できるかをめぐる新しいデリケートな競争になるだろう。

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