サウジとアメリカの複雑な関係
―特別な関係からノーマルな関係へ
2009年6月号
9・11以降の対テロ戦争を遂行するなか、アメリカはサウジを疑いの目で見るようになり、一方サウジの王族もいまやアメリカのことを「戦略不安を作りだす元凶」とみなし始めている。アメリカへの石油の安定供給とサウジの安全保障を取引したアメリカとサウジの「特別な関係」はすでに終わっている。中東和平に始まり、イラン、パキスタン、アフガニスタンにいたるまで、両国は重なりあう利益をもちつつも、一方ではっきりとした利害の衝突も抱えている。これまでのように「サウジはアメリカの意向を汲み、進んで支持してくれる」とワシントンが考えるのは無理がある。オバマ政権は両国の関係が先の読めない状況に入っていることを認識し、歩み寄れる案件をめぐって協調を重ねていくことで、9.11によって失われた信頼と自信を取り戻していく必要がある。