イラクかアフガニスタンか、それが問題だ
――オバマ政権の困難な選択
2009年4月号
「2009年2月末にオバマ大統領が発表したイラクからの撤退計画、つまり、19カ月で戦闘旅団を撤退させ、3万5千から5万の部隊を2011年まで残留させるというやり方は、様々な矛盾する要請のなかで、妥当なバランスを大統領が見極めた結果だと思う」。こう語るCFRの安全保障問題の専門家スティーブン・ビドルは「イラクでの平和維持活動の成功の可能性をどこまで低下させることを受け入れるのか。そして、さらなる増派をすれば、アフガニスタンでの成功の見込みをどこまで高められるか。大統領はこのふたつの矛盾する要請の間のバランスをとろうと試みている」と指摘する。問題はアフガンへの戦力増強が、イラクの不安定化というリスクを伴うことだ。アフガニスタンへの戦力増強のためにイラクから必要以上に速いペースで撤退すれば、イラクは再び内戦へと逆戻りしてしまうかもしれない。「そこにリスクフリーの選択肢はなく、バランスをとるしかない」と同氏は語った。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。